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海のいきもの
第56回 もうすぐ七夕!~星の名がつく魚たち
ジメジメしている今日この頃、とっとと梅雨明けしてほしい! そういえば、もうすぐ七夕。雲の切れ間に、天の川や夏の星座が顔を出す頃だ。というわけで、星の名がつく魚を探してみたぞ。●構成・文/山本真紀(2019年6月制作)
七夕魚は靫の真似をするか?
トップバッターはシモフリタナバタウオ。インド-太平洋の浅いサンゴ礁に広く分布しているが、実際に見たことがある人は少ないかも。というのも夜行性なので昼間は岩の亀裂の奥などに隠れているからだ。しかも、黒褐色のボディに白い点々模様なので、ちょっとライトを当てたくらいでは気づかない。
◆擬態疑惑/よく似た模様で同じような環境に生息する魚に、ハナビラウツボがいる。そのため「シモフリタナバタウオはハナビラウツボに擬態している」という話があるのだが、ホントだろうか。だってサンゴ礁で見られるウツボは何種類もいるうえ模様は様々じゃん。なんでピンポイントにハナビラウツボ?
●撮影/シモフリタナバタウオはモルディブ、ハナビラウツボは沖縄・久米島
天の川は銀河の中心
バンガイカージナルフィッシュ
もともとインドネシア・バンガイ島の固有種(今ではバリやレンベでも見られる)。学名のプテラポゴン・カウデルニィで呼ばれることも多いのだが、アクアリウムの世界では「あまのがわてんじくだい」という俗称で流通していることもある。この魚の超珍しい生態としては、普通は孵化と同時に終了する口内保育を、稚魚になってからもしばらく続けること。生残率が高いせいか、他のテンジクダイの仲間より卵径がかなり大きいことも興味深い。
●撮影/インドネシア・レンベ
ギンガハゼ
ご存じ、テッポウエビと共生するタイプのハゼの仲間。黒タイプと黄タイプがいるのだが、どちらも顔やヒレに青い点々が散っている。この点々を銀河の星に見立てて和名が付けられた。ちなみに、ギンガメアジは漢字で書くと「銀紙鰺」。銀紙を張ったように輝く銀色ボディが由来とのことだ。てっきり流れるような大群を銀河に見立て、そこから「銀河目鰺」となったのかと思い込んでおりました。もちろん「銀亀鰺」でもありません。
●撮影/タイ・タオ島
いろんな「星の魚」たち
アマミホシゾラフグ
「海底のミステリーサークル」として一躍脚光を浴びたこの砂の模様、アマミホシゾラフグのオスがせっせとつくった産卵巣。このフグは2014年に新種記載されたばかりで、特徴である白い水玉模様を星に見立てて名付けられた。12cmほどの小さな魚が、直径2m前後ものサークルをつくるのだからスゴイ。春から初夏にかけて奄美大島で見られる。
●撮影/奄美大島
スターフィッシュ
「星の魚」といえば、もうそのものズバリなのがヒトデの仲間。棘皮動物(きょくひどうぶつ)の特徴である五放射相称の体型がそのまま星型となっており、英語圏ではStarfish(スターフィッシュ)。フランス語でもドイツ語でも「海の星」と呼ばれているようで、これを人の手に見立てた日本人は世界ではやっぱりちょっとユニークなのかも。
●撮影/モルディブ
ルリホシスズメダイ
体に散らばる瑠璃色の点々を星に見立てたネーミング。ただ、成長につれて「星」は少なくなり、老成魚ではほとんど見られなくなる。
●撮影/久米島
ミツボシクロスズメダイ
写真は幼魚で、ひたいと両体側に蛍光ブルーを帯びた白い星が合計3つあることが由来。ただ、こちらも老成魚になると「星」は薄れる。
●撮影/伊豆半島
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