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基礎からわかる! ダイビングスキルアップ術
第13回 安全停止攻略法
ダイビングが終わって水面に浮上する前に 水深3m以深~6m未満で3分間の「安全停止」をすることが 減圧症予防に非常に有利だということはご存じのはず。 ただ、ピタッと止まれない!と悩んでいる方は多いのでは? 安全停止こそ、中性浮力をとる練習だと思って、頑張ってみよう!
安全停止の必要性をおさらい
ブイやアンカーのロープにつかまりながら安全停止をするのが最も確実
今では浮上前に水深3~5m台で3分間の安全停止をすることは当たり前になっているが、導入当時は各方面から「ドリフトでどうやって安全停止をしろというのか?」など反撥もかなりあったように記憶している。
でも、そんな流れのある海域でも安全停止をするのが当たり前になっているのだから、何でもやればできる。安全のためなら実践するべきだ。
でも、なぜ安全停止をしなくてはならないのか?
決定的な理由は「減圧症の予防」だ。
ダイビングで体内にたまった窒素は水深を浅くしていくにつれ、排出されていくが、一度組織にたまった窒素は、たまっていく速度よりも遅い速度で排出される。
体の組織の中には窒素の溶け込み時間が速いもの(水性組織)と遅いもの(脂肪組織)があって溶け込み時間が速い組織では排出も速く、遅い組織では排出も遅い。
また、体内にたまった窒素は、浮上とともに気泡化している可能性もあるため、浮上前に気泡化した窒素を少しでも多く排出することがポイント。
最近は「ディープストップ」といって水深18mなどに数分間とどまるとさらに安全率は高まるという説もあり、DC(ダイブコンピュータ)にはその機能が付いているものも。その場合はより安全性を考えて準じるといい。
安全停止中の酸素の使用も可能!
安全停止や減圧停止の際にエア切れになっても困らないよう、タオ島の《ビッグブルーダイビング》ではタンクをぶら下げている。これは通常の空気充填タンクだが、日本ではここに酸素をぶら下げておくことも可能だ
本題から離れるが、2015年4月に高気圧作業安全衛生規則が改正された。
作業ダイバー向けの規則改正なのだが、これにより一般ダイバーも酸素使用が可能になった。
減圧中(安全停止中)に酸素を使用することで体内の窒素排出速度を劇的に高めるからだ。
ただし、使用方法を間違えると酸素中毒にかかりかねないので、十分なご注意を。
適正ウエイトが重要
さて、実際に安全停止の段。
水深3~5m台に到達したら、そこにとどまるだけなのだが、同じ水深にピタッととどまることは意外に難しい。
特に水深が浅いところほど水圧の変化が激しいため、バランスもとりにくくなる。
しかも、ダイビングが後半になっていて、タンク内の空気が減った分、タンク、特にアルミタンクの浮力もかなりのものに。
エントリー後すぐの状況からすると、全体に"浮き気味"となってしまう。
適正ウエイトの測り方はこのコーナーの第10回で紹介したが、
ダイビングの後半にタンクが浮くようであれば、少し重めにしたほうがいいだろう。
適正ウエイトは重さも大事だが、ウエイト玉をバランスよく配置することも大切(写真の上のウエイトバランスだと、腰の後ろのほうにウエイトが集中してしまう)
ちなみに、モルディブのとある島で潜ったとき、「タンクがアルミで新しいから」とスタッフがタンクベルトにウエイト玉を1kg付けておいてくれた。
安全停止中も驚くほど安定感があって、これからもその作戦でいこう!と心に決めたほど。
(BCのタンクベルトが短いとできないが。その際はウエイトベルトを1本借りてタンクに巻き付けてもいいかも・・・落とさない工夫が必要だが)。
タンクベルトにウエイト玉を1つ付けているので、浅瀬でも安定感バッチリ
ピタッと止まることなんてできない
こう言ってしまっては元も子もないのだが、ピタッと止まっているガイドさんだって、実際の水深は上下している。
でも、その幅がとても少ないだけなのだ。
だから、アンカーロープにつかまったりせずフリーで安全停止をする場合は、ガイドさんと同じ水深にいるように頑張ればいい。
安全停止の際はガイドさんがセーフティブイを上げてくれるので、そのそばにいればいい
安全停止中に気をつけたいのは、目線。
誰もが経験があるかと思うが、安全停止中に下にいる魚や生物を眺めていると、段々水深が下がってしまって、気づけば水深10m!なんてことにも。
逆に水面を見上げているうちに、あれれ、水面に浮上しちゃってる!なんてことも。
ガイドさんを目標にしてガイドさんを眺めるか、その先にある岩などを眺めるか、いずれにしても水深3~5m台にあるものを同じ高さ(水深)から眺めるのがコツ。
でも、3分間同じ所を眺めているのは苦痛以外の何物でもないはず。
辺りを見回しながら、時々目標物に目を戻して水深をキープするというスタイルがオススメだ。
ガイドさんと万が一はぐれたときのために携行しておきたいセーフティブイのセット(商品はウエイト以外、株式会社ゼロ)
呼吸で浮力を微調整
中性浮力がなかなかとれないといって、BCの給排気を行なっている人もいるが、水深3~5mと浅い水深では、BCでは微調整が難しい。
できれば、肺の中の空気の出し入れをして、浮くなと思ったら大きく吐く、沈むなと思ったら空気を思い切り吸う、といった感じで自分自身が大きく浮いたり沈んだりしないよう、肺呼吸で調整するようにしよう。
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