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基礎からわかる! ダイビングスタート&スキルアップ術
第49回 トラブル対処法 その2 忘れる編

ダイビングスタート&スキルアップ術

初めてのダイビング、久しぶりのダイビングは「どうしたらいいの?」と戸惑いの連続。
今さら聞けない基本スキルから絶対にマスターしたい必須スキルまでここでおさらいしちゃいましょう!

初心者というよりは慣れてきて油断も隙もありまくりなダイバーに多いのが マスクを着けずにエントリーしちゃった! とか
ウエイトを着け忘れて潜降できない!! といった、“忘れ”によるトラブル。
今回は、万が一、そんなドジなトラブルを起こしてしまった場合の対処法を学んでおこう。

※写真はイメージ 本文とは関係ありません

エントリー時によくあるドジ話

エントリーしたら、あれ?
レギュレーターをくわえていなかった!
マスクをしていなかった!
フィンを履いていなかった!
ウエイトを着け忘れていた!

という経験をした方はいないだろうか?
筆者(ゴット姉さん)は、ある。全部ある。

初心者の頃もやったが、大きくなって大人になっても…、違った、いわゆる中級者の域に入ってからのほうが多くやらかしている。 仕事で潜ることが多いので、ほかに気を取られていたのかもしれないが、これはかなり、いいわけ。おっちょこちょいなのだ。

でも、筆者の場合は、今も生きているので、何とかなっているのだが、こうしたことが元でパニックになり、事故を引き起こしたり、引いては死に至ることもあるから、侮れない。

今回はこうした「忘れる」ことの対処法を考えていこう。

“忘れ”の対策

ジャイアントエントリーでレギュレーターをくわえ忘れる

バックロールエントリーのときはあまりしないような気がするが、ジャイアントストライドエントリーの際に、なぜだかレギュレーターをくわえるのを忘れ海へ。
水中に沈んでいる間に息をしようとして海水をのみ込み、大慌て……。

このときにレギュレーターをくわえていないことを思い出して、冷静に対処すればいいだけのこと。 慌ててはいけない。少しぐらい海水を飲んでも大丈夫だ。

まず両足を大きくひとかきして、水面に顔を出す。
そしてBCに空気を入れて浮力を確保する。

この2点さえできれば、あとはレギュレーターをくわえるよりもまず大気中で呼吸ができるので、ゆっくり呼吸をすれば心理的にも落ち着くことができる。

逆にここで慌てて水面に顔を出したものの、浮力が確保できずまた沈んでしまい、海水を飲み込み、溺れてパニックになり事故になるケースもある。

とにかくエントリー時にレギュレーターをくわえ忘れても一度は水面に浮くエントリースタイルなので、このときに浮力を確保することがポイントだ。

落ち着いたところで、レギュレーターをくわえ、リカバリーをして(レギュレーターのセカンドステージ内に入ったかもしれない水をパージボタンを押して抜いて)、それからインストラクターの合図で潜降していけばいい。

潜降するときに、なぜかスノーケルをくわえたまま

レギュレーターのくわえ忘れのパターンの一つに、スノーケルをくわえたままエントリー、潜降ということもある。

スノーケルをくわえたまま潜降してしまったら、次に呼吸したら海水が入ってくることは自然の理。

ここで海水を飲んでも慌てずに、レギュレーターリカバリーをすればいいだけのこと。

何事もなかったかのようにできれば、一人前だ(笑)。

慌てて急浮上して水面でバタバタして溺れる……ということにならないように、気をつけよう。

エントリーするときにマスクを着けるのを忘れ…

おそらく初心者よりも経験者に多い凡ミス。
マスクを着けずに水面に入ると、まあ視界はモワモワ。
海であれば何よりも目が染みる。
当然慌ててしまうわけだが、ここは慌てず落ち着いて。

バックロールにしてもジャイアントにしても一度は水面に浮き上がるので、浮き上がったときにBCに給気をして水面で浮力を確保。
ここが大事。

それでしっかり呼吸ができるようにしてから、船や桟橋に戻って、忘れたマスクを回収して、着け直せばいい。
このとき、マスクの曇り止めももう一度し直すといい。

今、書きながら気づいたのだが、ビーチエントリーでは器材を着け忘れることは(ウエイト以外は)まずない。だからビーチエントリーでスキルアップする初心者に凡ミスが少ないのかもしれない(バディチェックをしっかりしていることも忘れてはならないが)。

マスクの曇り止めを忘れる

筆者の場合、マスクの曇り止めをしたのにもかかわらずよく曇ることがあるのだが、曇り止めを忘れると、ダイビングの楽しみも半減、いやそれ以上なくなるのでご注意を。

だが、忘れちゃった場合は仕方ない。
曇るたびにマスククリアをすればいいだけ。
またいつも以上に鼻呼吸はしないことを心掛ける。

マスク内に水を少しためておいて、曇ってきたら回して曇りを取る、という方法もあるが、どうなんだろう、不快感が大きくて、あまりオススメではない。
海草があれば、水中でマスクを外して海草の汁で曇り止めをする、という方法もあるのだが、そんなに都合よく海草も見つからないわけで……。

とにかく曇り止めを必ずする、ということが最良の方法だ。

ちなみに、マスクの曇りが激しい時は、マスククリアを繰り返すせいか、空気消費量はかなり多くなる傾向があるのでご注意を。

ウエイトを着けるのを忘れて潜降できず

BCのウエイトポケットにウエイトを入れている人は、最初に入れてしまえば忘れることはまずないのだが、ウエイトベルトを使っている方に多いのが、着け忘れ。
エントリー前のバディチェックをしっかりしておけば、忘れることもないはずだが、なぜか忘れる人、多いんですよね。

潜降できないと気づいたら、まず、ウエイト忘れを疑う。
そして本当に忘れていたら、無理してダイビングを続けようとせず、一度浮上してウエイトを着け直す。これが正解だ。

ただ、ビーチエントリーの時などウエイトを取りに行くまで時間がかかることも。
ほかの皆さんを水面で待たせてしまうことになるのだが、そこは安全のためにも待ってもらって、ウエイトを取りに行くほうがいい。

場合によってはインストラクターやガイドさんが多めにウエイトを持っているので貸してもらうこともできるが、5kgも6kgも多めに持っていることはまずないので、取りにいってしまおう。
再び潜降し直すときに、慌てて呼吸が乱れていると、別の意味で潜降できなくなるので、深呼吸をして、過呼吸にならないように落ち着いて行おう。

ちなみに、筆者は「ん? なんか潜降しにくいな?」と思いながらも水深25mぐらいまで潜降し、ダイビングを開始。徐々に水深を上げていくときに、妙に浮くな……、いやいや急浮上しそう……となった時に初めてウエイトをしていないことに気づき、大変な思いをしたことが。
できるだけ岩につかまったり、重そうな石を見つけようとしたりして何とか頑張ったが、最後のほうは係留しているブイのロープにつかまったまま、みんなが戻ってくるのを待っていたということも。
ウエイト、大事です。

フィンを履き忘れてアタフタ

ビーチエントリーの際はまずない忘れ物だと思うが、ボートダイビングのときに忘れる人がたまにいる。つい最近も見た覚えが……。

フィンを履いていないと浮力が減るのと、ジャイアントストライドのときは水面に上がるためのひとかきの際に、揚力が出ないので、やはり慌ててしまって、溺れや過呼吸、パニックにつながることも。
でも、おかしいと思ったらすぐに気づけるものでもあるので、まずは落ち着いて、水面に出たらBCに給気をして浮力を確保すること。

水面で浮力を確保したら、ボートに戻って忘れたフィンを回収。水面で履いたら、ダイビングを続行すればいい。

ダイブコンピュータを忘れて入り…… 

リストタイプのダイブコンピュータはダイビングごとに(スーツを脱ぐごとに)着けたり外したりするため、実は一番よくある忘れ物だ。
BCのどこかに付けておくという手もあるのだが、今度は一日の最後にそれを外すのを忘れ、盗難に遭ったりすることもあるので、厄介ではある。

ダイブコンピュータを忘れると、潜水時間がわからないばかりか、最近はアナログの水深計も付けていない人が多いので、現在水深もわからない。心理的にはかなり不安な状況に陥り、過呼吸やパニックのもとにもなりかねない。

忘れたことに気づいたのがエントリーしてすぐであれば、取りに戻るのが一番。
でも、ある程度進んでしまってから気づく場合は、すぐにガイドさんやインストラクターに知らせて、バディや先頭をいくガイドさんから離れずに行動すること。
そして、不安な時はいつでも水深、潜水時間が聞ける状況にしておくことが大切だ。

ダイブコンピュータは無減圧潜水時間を表示してくれるものなので、ガイドさんやバディよりも水深が深くならないようにすることも最重要ポイント。

まあ、ダイブコンピュータだけでなく、すべての器材やグッズは忘れないことが一番の対策なんだけどね。

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