
DIVING スタート&スキルアップ2020
初めてのダイビング、久しぶりのダイビングは「どうしたらいいの?」と戸惑いの連続。
今さら聞けない基本スキルから絶対にマスターしたい必須スキルまでここでおさらいしちゃいましょう!
ダイビングスキルというと、体を動かし、身に付けるものと相場は決まっているが、ダイビングというのは知識が豊富なほど、楽しみも増すのは古今東西、多くのベテランダイバーが歩んできた道。
ということで、今回は、危険生物といわれる中でも、オンナ子どもの喧嘩みたいに「噛む」生物について紹介したい。最近はオンナ子どもだけじゃなくて、オトコの喧嘩にもあるのかもしれないけど。
★ダイビングを始める・上手くなる♪
『DIVINGスタート&スキルアップ』
そもそも「危険生物」なんてタイトルにも書いているが、人間は誤解している。
海の中にむやみに入ってくる人間に恐怖心を覚え、身を守るための防衛手段として、人間を襲うだけであって、「先に手を出している」のは、いつも人間だということを知っておかなければならない。
そう、彼らは決して危険な生物ではないのだ。
実は、サメだって同じ。ホホジロザメだって、人間が怖くて最初は遠巻きに見ていて、襲えるぐらい弱っているものをまず甘噛みするだけなのだ。
まあ、ホホジロザメのように鋭い歯の持ち主に甘噛みされたら、人間はひとたまりもないわけだけど。
つまり「危険生物」の被害に遭わないようにするためには、生物を脅かすような行動を控えること。それだけだ。
世の中で一番怖いのは、いきなり無差別殺人をしたり、弱き者をいじめたりする人間じゃないかと思う。
写真を撮ろうとしたら、クマノミの縄張りに入ってしまい、ある1尾のクマノミ(モルディブアネモネフィッシュ)が噛みつきにきた。ちょうど膝裏のしわになったウエットスーツを噛んでしまったようで、筆者は痛みを感じることはなかったのだが、スーツの糸に引っかかってしまったのか、歯が抜けなくなったクマノミが。写真を撮り終わって、違和感を感じて振り返ると、ひざ裏に瀕死状態のクマノミがいた。ごめんなさい。もうテリトリーに入りませんから!
さて、私たちダイバーのアイドルでもあるかわいいクマノミの仲間たち。
水中写真を撮ろうと近づいたり、イソギンチャクのそばに産み付けられた卵をよく見ようと近づいたりした人は、クマノミの仲間に噛まれたことがあるのではないだろうか?
あるときは指だったり、あるときはおでこだったり・・・
なぜ人間の露出した肌がわかっているんだろう?と不思議に思うほど
あんなに小さいくせしてクマノミは人間の噛むべき場所を知っている。
でも、クマノミは自分たちの卵を守るためであったり、 ホストであるイソギンチャクを守るためであったり、縄張りを守るためでもあったりして、 噛むという攻撃に出てくるわけだ。
あまり近づき過ぎないのが、クマノミとの楽しいつきあい方なのだ。
卵にきれいな水を吹きかける親トウアカクマノミ。
いきなりカメラを向けるとすぐに攻撃されてしまうので、そーーーっと、近づくのがコツだ
クマノミの仲間ともいえるスズメダイの仲間たちも、縄張り意識が強いのと、彼らがいる場所の近くには産卵場所があることも多々あるので、卵(子孫)を守るという理由で近づくダイバーを攻撃するタイプが多い。
パラオで無制限ダイブのできるダイビングサービスのハウスリーフでは淡いピンク色がかった白っぽいクマノミ(ニセネッタイスズメダイか?)が地味にスゴイ。
かなり遠くから近づいてきたダイバーを「こちらに来るな」といわんばかりに攻撃。
それでも近づこうものなら、もう狂っちゃったんじゃないかってぐらい攻撃してくる。
生身を噛まれると痛いので、すぐ逃げるほうがいい。
卵を産む頃からハッチアウトするまでの間、サカナ界で最も凶暴になるといわれるのがゴマモンガラ。
あの、ギョロリとした目でこちらをにらんだりされた日には、すたこらさっさと逃げたくなる。
そう、ゴマモンガラは自分が海底に生んだ卵をひたすら守っているのだ。
卵に近づく者は何も許さん!とばかりに、猛烈な勢いで泳いできてはガブリと噛もうとする。
それを知らずに近づいてしまったダイバーが何針も縫うようなオオケガをしたというのは少なくない話。
死亡に至ったスノーケラーもいる。
でも、この時期ではないゴマちゃんは近づいてもそんなに攻撃してこないから不思議。
ただ、よ~く観察しないと、産卵時期かどうかはわからないので、むやみに近づかないに限るけれど。
ちなみに、ゴマちゃんじゃないから大丈夫!と、よく似たキヘリモンガラに近づいたところ、ガブリと攻撃された・・・なんて人も。 似たような“危険生物”には近づかないに越したことはない。
産卵するための場所をキレイにしようとしているゴマモンガラ。この行動を始める時期は、近づいてはいけないサインだ
そっくりなキヘリモンガラは行動も瓜二つ! やはり近づいてはいけません!
大きな口、鋭い歯、うねうねとしたウミヘビのような体から、
「怖い」「危険」とされるウツボもまた、危険生物と呼ばれるのは言いがかりのようなもの。
普段穴に潜んで、体を掃除してもらいながら、のんびりと暮らしているウツボさんたち。
目の前に、「ウツボ大好き!」というダイバーが現れた日には、そりゃ隠れたいに決まっている。
でも、遺伝子的にウツボが大好きな欧米人ダイバーたちはウツボに触ってみたいとか、なでてみたいと手を出したりするものだから、ウツボは「きゃー、襲われる~~~!!」と恐怖心を抱いて、差し出された手や間違ってやってきた頭をガブッとやってしまうのだ。
どちらが悪いか? そりゃ、人間に決まってるでしょう、やっぱり。
ちなみに、ウツボは視力が悪いといわれている。 暗い所であまり近づいてもガブッとやられることがあるので、ウツボが隠れていそうな穴の近くには近づかない、指や手、足を突っ込んだりしないこと。
ちなみに、ニョロニョロと動くウツボに似た、ヘビの仲間も基本的には同様なのでお気を付けあそばせ。
ウツボは見かけが怖いんだけど、むやみに近づかなければ全然攻撃してこない
ウミヘビも怖いといわれるが、手出しさえしなければOK。ただし、噛みつかれたときに毒を注入されると大変なことになる。ウミヘビを見たら避けるに限る
ということで、噛む危険生物の代表格、サメもまた、人間を襲おうとして襲っているわけではない。
映画『ジョーズ』のおかげで悪者扱いされているホホジロザメをはじめ、「危ない」といわれるサメたちも同様だ。
特に、ホホジロザメの場合、ダイビング中に襲われたという事例は実は非常に希で、それも、スピアフィッシングなどで捕った魚や生物を腰に巻いたりしているのをホホジロザメが“間違えて”人間まで噛んでしまっただけのこと・・・などと考えられている。
こわもてのサメではあるけれど、人間がいたずらをしたり追いかけたりしない限りは、向こうから襲ってくることはないのだ
むしろサーフィン中に、弱ったアシカと間違えて、食べに来たり、水中工事中に機械が微弱な振動を起こしたために、弱った獲物がいると間違えてガブッと噛んだりしてしまったために、事故になったものが非常に多いという。
ホホジロザメだけでなく、タイガーシャークも偶然水中で会ったことがあったが、人間には全然興味がなさそう。
凶暴といわれるサメは決して凶暴なんかじゃないのだ。
逆に、砂地に潜んでいるカスザメに間違えて手をついてしまったダイバーがガブッと噛まれたりすることも。
私たちダイバーは、環境保護のためにもそうだけれど、こうした生物から身を守るためにも、海の中にあるものには触れないよう、いつも注意すべきなのだ。
文/マリンダイビング編集部
次回更新予定日 2016年11月16日
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