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基礎からわかる! ダイビングスキルアップ術
第9回 耳ぬき

基礎からわかる!ダイビングスタート&スキルアップ術

水中では水圧がかかり、鼓膜が圧迫され耳に痛みを感じる。でも、「耳ぬき」(「耳管通気」などとも呼ばれる)をすれば痛みは解消する。水深が深くなるにつれ水圧は増えていくので、その都度、耳ぬきをすればいいのだが、実際に耳が抜けないと悩んでいる方も多いようだ。また、できているつもりでも実際はできていないという方も。ここでは耳ぬきを完璧に行うためのスキルをご紹介しよう。

【連載】耳ぬき不良は治る!

マスクはフィットしているか?

欧米の製品の場合、鼻が高すぎてつまんだときに鼻がつまめないなんてことも(写真は故意に鼻先をつまんでいます)

欧米の製品の場合、鼻が高すぎて鼻がつまめないなんてことも(写真は故意に鼻先をつまんでいます)

耳ぬきができないという人の中には、マスクが合っていないからというのが理由になっている場合も。
マスクは顔にピタッと合っていることが大事だが、ノーズポケットの形が自分の鼻に合っているかどうか、つまみやすいかどうかも重要なポイント。
特に欧米の製品の場合は、高い鼻の欧米人に合わせてデザインされているので、つまんだときに自分の鼻ではなく、ノーズポケットだけをつまんでしまっている場合も。
また、小顔向けのサイズの小さなマスクで、少しサイズが小さかったために、耳ぬきしにくくなっているケースも見受けられる。
購入の際には、鼻の部分をつまんで、しっかりと鼻がつまめるかどうかも確認してから買うことをおすすめする。

耳ぬきの方法

ダイビング講習で耳ぬきは真っ先に習うスキルのひとつだが、覚えているだろうか?

耳ぬきの方法は大きく分けて3つある。

1 バルサルバ法
  鼻をつまんでやさしく鼻に圧力をかけて息む

2 フレンツェル法
 鼻をつまんで舌の奥を上に持ち上げる

3 トインビー法
 鼻をつまんだままツバを飲み込んだり、アゴを動かしたりする

これにプラスして、鼻をつままなくてもツバを飲み込んだりアゴを動かすだけで耳ぬきができる人もいるわけだが、大切なことは、耳鼻科医でダイビングインストラクターの三保仁先生によれば、"耳管を開ける"意識を持つこと。
力めば耳は抜けると勘違いしている人もいるようだが、あまり力みすぎると中耳腔や内耳を傷めることにもなりかねないので、じっくりゆっくり空気を送り込むイメージで、耳管を開けるようにしよう。

なお、1~3の耳ぬきの方法で、耳を傷めない理想的な方法は3→2→1の順だ。
陸上でもできるので、練習してみよう。

誰もが一度は学ぶ「バルサルバ法」

ダイビング講習で「耳ぬき」といえばコレ、というぐらいオーソドックスな方法。
口を閉じた状態で鼻をつまみ、やさしく、でもしっかりと息む(空気を喉から耳に送る感じ)。
これで鼻腔内の圧力が高まり、耳管が開かれ、中耳腔に空気が送り込まれ、耳管が開くのだ。

鼻がつまみにくい場合は、人差し指を使って鼻をつまむ手も

鼻がつまみにくい場合は、人差し指を使って鼻をつまむ事も

鼻をつまむのではなく、鼻の穴をふさぐ感じでもいい

鼻をつまむのではなく、鼻の穴をふさぐ感じでもいい

耳にやさしい「フレンツェル法」

名前だけ聞くと難しそうだが、やってみると意外に簡単に耳が抜けることに驚く人も多いだろう。

まず鼻をつまむ
鼻をつまんだままの状態で、舌の奥というか、根元のほうを上顎に持ち上げる。
耳管が開いて、耳が抜けた感じになればOKだ。

フレンツェル法

こちらも理想的な「トインビー法」

トインビー法という名称を覚える必要はないが(ほかも同様)、鼻をつまんだままツバを飲み込むという簡単な方法。
ツバを飲み込むことで鼻腔内の圧力が上がり、同時に耳管が開くという体のメカニズムを利用するもの。
無意識に耳ぬきができるという人は、この方法を使っていることが多い。

耳への負担が少ないが、できない人も少なくない。

耳ぬきのタイミングも大事

潜降を始めて、耳が痛くなってから耳ぬきをするのでは遅すぎる!
耳を圧迫する水圧は、水深が浅ければ浅いほど、変化率が高い。
たとえば水深20mから21mに移動すると、水圧は3.0気圧から3.1気圧に。変化率は1.3%なのに対し、水面から水深1mへは1気圧から1.1気圧へ10%も増える。
水深2mから3mへは8.3%とまだ変化率は高い。

このことからも水面から水深1mに行く間に耳ぬきが必要になるし、水深10mぐらいまではこまめに耳ぬきをしていく必要があることがわかる。

耳ぬきが苦手という方こそ、まずは潜降前に水面で耳ぬきをし・・・

(1)水面から水深5mまでは50cmごとに

(1)水面から水深5mまでは50cmごとに

(2)5mから10mまでは1mごとに、10m以降は適時必要に応じて

(2)5mから10mまでは1mごとに、10m以降は適時必要に応じて

(3)耳が痛くなる前に、早め早めに正しい耳ぬきをしていくことで、 耳ぬきはいとも簡単にできるようになるはずだ。

(3)耳が痛くなる前に、早め早めに正しい耳ぬきをしていくことで、 耳ぬきはいとも簡単にできるようになるはずだ。

耳が抜けない場合の対処法

耳ぬきができないというのは、多くの場合、潜降時だと思う。
潜降の際は、耳が抜けないという時点で耳が痛くないところまでいったん浮上して再トライ。

このとき、片方の耳が抜けないようであれば、抜けないほうの耳を上に向けると抜きやすくなる。

ゆっくり、そして力まないようにして耳ぬきをし、抜けるようであれば潜降して行ってほかのダイバーと合流を。 どうしても耳が抜けないという場合は、 インストラクターやグループリーダー、バディに 耳が抜けない、耳の調子が悪いといった合図をして、 無理に潜らないようにしよう。

ゆっくり、そして力まないようにして耳ぬきをし、抜けるようであれば潜降して行ってほかのダイバーと合流を。 どうしても耳が抜けないという場合は、 インストラクターやグループリーダー、バディに 耳が抜けない、耳の調子が悪いといった合図をして、 無理に潜らないようにしよう。

耳の調子が悪いというサインも思い出して。 耳を指して、その後にてのひらを横でヒラヒラさせればいい 無理をして潜って鼓膜を破ったり、中耳を傷つけてしまう例が少なからずあるので、 絶対に無理は禁物だ。

耳の調子が悪いというサインも思い出して。 耳を指して、その後にてのひらを横でヒラヒラさせればいい。無理をして潜って鼓膜を破ったり、中耳を傷つけてしまう例が少なからずあるので、 絶対に無理は禁物だ。

耳ぬき不良は専門の耳鼻科医に相談を

「耳が抜けず、ダイビングができません」と相談に来られる方の大半は、実は耳ぬきのメカニズムを理解していない、または耳ぬきが正しくできていないだけです。
本当に耳にトラブルがあってダイビングができないという人は1%にも満たないのです。

そう語る三保先生。

では、どうすれば耳ぬきはできるようになるのか?

フレンツェル法 現在、最もいいとされるのが通称"鼻風船"と呼ばれる「オトヴェント」での練習。(右写真)
これで、ゆっくり耳管を開けていくという感覚が体得できるようになるはずだ。
耳ぬきの練習をするには最適といわれる「オトヴェント」。もともとは内耳の炎症を治療する目的で開発されたもの。耳鼻科医で使い方をしっかり学び、処方してもらおう。
「オトヴェント」は、通販で購入ができる。

耳ぬき不良の診断と治療の流れ

耳ぬき不良の訓練と治療方法

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