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現地の海から2025.03.03

パラオのダイビングスポットBEST 10
第10回 ブルーコーナーが季節モノで大盛り上がり!
~アクアマジック・パラオの堀さん解説~

写真/堀義雄(アクアマジック・パラオ)

写真/堀義雄(アクアマジック・パラオ)

パラオは、海外の憧れのダイビングエリアの中でも超ダイナミックな最強の海。せっかく行くならベストなタイミングでベストなスポットを潜りたいということで、《アクアマジック・パラオ》のチーフガイドでパラオ歴15年の堀 義雄さんがパラオのダイビングスポットベスト10」を毎月お届け! 第10回は初回で紹介した「ブルーコーナー」の近況です。堀さんからお話しいただきましょう。

パラオのベストシーズンとは?

ジャーマンチャネル近くのラグーンでは、潮が引くと砂洲(サンドバンク)が出現
写真/堀義雄(アクアマジック・パラオ)

ジャーマンチャネル近くのラグーンでは、潮が引くと砂洲(サンドバンク)が出現
写真/堀義雄(アクアマジック・パラオ)

「ブルーコーナー」はこの連載の初回で「最強! ブルーコーナー」として、紹介したように、いつ潜っても外れがない、パラオ人気No.1のビッグスポットです。
パラオの気候には大まかに乾季と雨季があり、乾季は北東モンスーン、雨季は南西モンスーンの影響を受けます。地球規模の異常気象で乾季でも雨がちだったり、雨季でも雨が少なかったり、年によって様々ですが、一応12~5月頃が乾季、6~11月頃が雨季ということになっています。
「ブルーコーナー」はパラオ諸島を取り巻くバリアリーフ(サンゴ礁)の南西部にあって、南西モンスーンが強い日は荒れやすくなりますが(常に悪いわけでは全然ないんですが)、北東モンスーンの吹く乾季は「ブルーコーナー」などがある西側海域の海況がとても安定。つまり「ベストシーズン」となるわけです。東側にもダイビングスポットはありますが、主なダイビングスポットが西側にあるのもそういった理由なのでしょう。
ベストシーズンになると、海中でも魚たちの行動が活発になり、特に朝夕の捕食時間はサメや回遊魚たちの動きが殺気立っているような、激しいものになったりします。また子孫を残すための産卵行動も多く繰り広げられ、ダイビングは見どころ豊富な季節となるわけです。

ツノダシ大軍団のショータイム

パラオのベストシーズンで最も顕著なのが「ブルーコーナー」とその周辺、西側のダイビングスポットを大軍団で駆け巡るツノダシでしょう。満月の大潮周りでそのシーンはよく見られるようになり、毎年12月頃から4月頃までツノダシの大群がドロップオフやリーフエッジの付近を埋め尽くします。今季は12月は出ず、1月になってぼちぼちといった感じでしたが、2月の満月の頃は2,000尾以上! 大爆発です!! これだけの群れが固まりとなって右へ左へと移動するのは圧巻です。
なぜツノダシの群れは大移動するのえしょう? 大物たちが捕食のために群れを追いかけているからです。狙いの主は主にオグロメジロザメ(グレイリーフシャーク)たち。最初は2~3尾でツノダシの群れの後ろを追いかけていたものが、気づけば10尾以上、さらに多いときは200尾以上のサメの群れが見られています。

ミヤコテングハギの大集団も圧巻

ツノダシが大きな群れをつくるのは産卵のためだとかんがえられています(実際に、過去に僕は放精放卵の瞬間も目撃しています)。同じように産卵行動をする魚がこの時期はとても多いのですが、ツノダシと同じぐらいかそれ以上の大軍団となって海中を右へ左へと駆け回っているのが、ミヤコテングハギです。真っ黒なボディで腹ビレと尾の根元がオレンジ色なのですが、腹ビレはたいてい閉じていて、オレンジ色はちょこっとしか見えません。でも真っ黒な大集団が通り過ぎる時に見せる色鮮やかなオレンジ色がとても美しい! 存在感のある魚なんです。やはりベストシーズンに見たいシーンの一つとなっています。

オグロメジロザメも数百尾以上のリバーに!

「ブルーコーナー」の本領発揮!ともいえるのが、やっぱりオグロメジロザメの大群ではないでしょうか。我々はずっとグレイリーフシャークと呼んでいますが、体長が2m近くあって美しい流線形のシルバーボディがとってもカッコイイ。それが単体じゃなくて10尾も20尾も現れることがあります。特にベストシーズンのこの時には200~300尾ものオグロメジロザメが群れ集まり大フィーバー! サメが生まれてすぐ、子どもの頃に群れているのはよく「ウーロンドロップオフ」で見られますが、大きな個体が集まっているとエキサイトせずにはいられません。今年も2月には数百尾以上の群れが僕たちダイバーを激エキサイトさせてくれました。
まだベストシーズンの海は続きます。ぜひパラオに来て、一緒にご自分の目で確かめてください!

さて、4月4日(金)~6日(日)に池袋サンシャインシティで開催される「マリンダイビングフェア2025」ももうすぐ!《アクアマジックパラオ》として、僕もパラオ政府観光局のブース内で皆さまをお迎えします!! 日本でお会いしましょう♪

アクアマジックパラオ チーフガイド/ゼネラルマネージャー
堀 義雄さん

パラオ在住歴足掛け15年。福岡県出身のベテランダイビングインストラクター。「パラオは初心者でも潜れる」をモットーに安全で楽しくパラオの海を案内してきた、創業30年の《アクアマジックパラオ》ならではの経験と実績をDNAに組み込んだ、ガイドテクニックとアフターダイブを盛り上げる術を兼ね備えた頼れるお方。
初心者はもちろんのこと、ベテランやゲストのニーズに対して幅広く合わせたサービスを提供してくれます。
水中でのワイドで撮る魚群の撮り方では角度、構図などもしっかり丁寧に教えてくれます。群れとどう向き合うのか、どのポジションをキープしていたらいいのかなど、ご自身で写真を撮る方法と逆に人から撮られる際の写り方などまで、堀さん本人が経験して得た感性を惜しむことなく伝授してくれます。

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