
フィッシュウォッチング500
サンゴ礁でよく見られるツバメウオの仲間は、ユーモラスな姿とスローな泳ぎで人気者。今回はアカククリをクローズアップしつつ、よく似た4種類の見分け方を紹介します。
●構成・文/山本真紀(2019年10月制作)
丸っこい体と小さな口が印象的なツバメウオの仲間は、マンジュウダイ科というグループに属している。日本には2属5種が生息。そのうちマンジュウダイという種類はダイバーとほとんど関係がないので、今回はスルーで。
最もポピュラーなのはツバメウオ(撮影/沖縄・久米島)。サイズもそこそこあり(30cm前後)、大群をつくる。驚かさなければすぐそばまで寄れるから、水中モデルにもぴったりだ。そのツバメウオのソックリさんがアカククリ(撮影/沖縄・石垣島)。単独か数尾程度で、大きな群れにはならない。不思議な和名の由来は後ほど。
●識別ポイント:ツバメウオは胸ビレ後方に黒斑があることで、他のツバメウオの仲間と区別できる。アカククリの特徴は少々わかりづらいのだが、口元がかなり突出していること。
海外のサンゴ礁でよく出会うのがナンヨウツバメウオ(撮影/フィリピン)。大きな群れをつくるところはツバメウオと同じだが、黒斑がないことで見分けられる。アカククリにもソックリで、特に若魚(写真)ではどっちなのか迷う。ミカヅキツバメウオ(撮影/マレーシア)も日本よりは海外でポピュラー。群れは小さめ。
●識別ポイント:ナンヨウツバメウオの口元はやや突出し、背ビレと尻ビレの後端はアカククリと比べると比較的丸っこい。ミカヅキツバメウオは口元がほとんど突出しない。
ツバメウオの仲間は成長段階によって姿を変える。4種類の中でも特にダイナミックに「変身」するのはアカククリ。とても同じ種類とは思えない。これらのステージを全部見れたら(撮れたら)、超ラッキー。
①これが幼魚! 和名の由来は一目瞭然。この時期は岩の亀裂や隙間の奥などに潜んでいて、意識して探さないと見つからない(探しても空振ることが多いけど)。大きさ2~3㎝。
撮影/インドネシア・レンべ
②これで8㎝前後。この時期、幼魚の各ヒレが長く伸長するのは他のツバメウオたちも同様。
撮影/インドネシア・レンべ
③かなりアカククリっぽくなってきたが、ヒレの縁にまだオレンジが残る。
撮影/沖縄・ケラマ
④ほぼ成魚と同じ姿だが、まだちょっとヒレが長め。特徴である突き出た口がよくわかる。
撮影/沖縄・石垣島
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