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空気消費量の算出方法
月刊『マリンダイビング』でスキルのお悩みを募集すると、
「エア消費が速い」「どうしたらエアが長持ちできる?」といった相談が多数舞い込んでくる。
まずは自分のエア消費=空気消費量を知って、どんなときに多くなるかを知っておこう。
エアが速いって、どういうこと!?
「エアが速い」のがコンプレックスになっているダイバーが多いようだが、肺活量の大きな男性はどうしたって女性に比べれば空気をたくさん消費するし、深く行けば行くほど、また、早く泳げば泳ぐほど消費量は大きくなる。
消費量の多寡を気にする前に、まずは具体的な空気消費量を押さえておいて自分の平均値を出してみてはどうだろう?
計算式はコレ!
エアの消費量は、ダイビングでは1分間当たりに消費する空気量のことをいう。
それを算出するための計算式がコレ(画像)だ。
つまり、エア消費量を算出するには、
・消費したエア量
・タンク容量(ℓ)
・平均水深の絶対気圧
・潜水時間(分)
の4つのデータが必要だ。
消費したエア量
これは最初にタンクにどれぐらいエアが入っていたか、ダイビング終了時、どれだけタンクにエアが残っていたか(残圧)で計算ができる。
普通、ダイビング開始時に満タンになっているタンクの空気量は200気圧(約200bar)。
エリアによっては180気圧とか150気圧といった所もあるけれど、多くは200気圧だと思う(気温の高いエリアでは空気が温まって膨張するせいか、230気圧ぐらい入っていることもあるけれど)。
最初に200気圧だったものが、ダイビング終了時の残圧が50気圧だったとすると、消費したエア量は200-50=150気圧となる。
タンク容量
タンク容量は見た目でもわかるようになっていたいけれど、まずは現地スタッフなどに聞いて把握しておこう。
エリアによってよくあるサイズは異なるが、フランス圏を除けば、10ℓタンクを使用しているところが圧倒的に多い。
ほかに8ℓ、12ℓ、14ℓなどもある。
平均水深の絶対圧
「絶対圧??」と思わずうなだれてしまいそうになる。
平均水深は、最近はダイブコンピュータがそのダイビング中の平均水深を計算してくれるのでデータが出しやすいはず。
ダイブコンピュータがない方は・・・最大水深とダイビング中一番浅かった水深、潜水時間からざっくり平均を出すしかないのだが、そもそもダイブコンピュータは一人一台は必要なので購入しよう。
絶対圧(記号はata)は、水面で1ataで、水中では10メートルごとに1ataずつプラスされていく。
平均水深が12.5mだったとすると、絶対圧は2.25ataとなる。
潜水時間
これは、誰もが知っているべきことだが、ダイビング時間。
エントリーしてから浮上するまでの時間(分)で、朝10時に潜降を開始して、35分に浮上したとすると、潜水時間は35分。
試しに計算してみる
エア消費量を算出するには、計算に慣れておくといい。
例えば、ダイビング開始時のタンク圧は200気圧、タンク容量は10ℓ、10時20分にエントリーして、11時に浮上。残圧は70気圧、平均水深は11.8mだった。
この場合は
消費したエア量(200-70=130気圧)×タンク容量10ℓ=1300
これを平均水深11.8mの絶対気圧=2.18ata
で割ると、
1300÷2.18=596.33・・・・
さらにこれを潜水時間(11:00-10:20=40分)で割ると・・・
596.33÷40=14.9ℓ/分
つまり、このときのダイビングのエア消費量は1分当たり14.9ℓだったことになる。
空気消費量の目安
男女で消費量は異なる
こういった消費量を毎回計算してログブックなどに記録しておくと、自分の消費量はどれぐらいが平均なのかがわかってくるはず。
そして、例えば流れに逆らってガンガン泳いだときと、フィッシュウオッチングをのんびりして、ほとんど動かなかったときとでまったくエアの消費量が異なることにもわかるはずだ。
男性のほうが肺活量が多く、運動量も多いといわれていて、空気消費量もその分、女性に比べると多くなる。
また、体格がいい人は小柄な人に比べると消費量は多めになる。
ただ体格がいいガイドさんでも、エア消費量が以上に少ない人がいるのだが、エラ呼吸をしている・・・ワケではなく、無駄な動きがないためだと考えられている。
エア消費量が多いかどうかの判断
ところで、エア消費量はどれぐらいが平均的なのだろう?
男性の場合は、13~15ℓ未満/分、
女性なら10~12ℓ未満/分であれば平均的、
といったところだといわれる。
男性15~20ℓ未満/分以上、
女性12~15ℓ未満/分以上だとやや多め
男性20ℓ/分以上、
女性15ℓ/分以上だと多め
となる。
エア消費が多いとお悩みの方は無理やり空気を節約しようなどとは考えず(かえって、苦しくなってプラマイゼロになってしまいがち)
まず、スキルアップして、効率よく泳ぎ、中性浮力をすぐにとれるようになることが先決だ。
また、マスクが曇りがちだと、マスククリアをしなくてはならず、そうするとエアも消費してしまいがちなので、ご注意を。
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