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海のいきもの
第61回 アカククリとツバメさんトリオ~後編

第61回 アカククリとツバメさんトリオ~後編

前回に引き続き、サンゴ礁でよく見られるツバメウオの仲間のお話。今回は彼らの幼い(若い)ときの姿と、それにまつわるお話を紹介します。
●構成・文/山本真紀(2019年11月制作)

ツバメさんたちの和名の由来

ツバメウオの仲間は成長段階によって大きく姿を変えることが知られ、特にダイナミックに「変身」するのがアカククリ(写真①~④)。その不思議な和名の由来は、幼魚の姿(写真①)を見れば一目瞭然だ。また、ツバメウオという名前の由来は、若魚時代の長く伸びるヒレが、空を飛ぶツバメに似ているためという説がある。

これがアカククリの幼魚! 和名の由来は一目瞭然。この時期は岩の亀裂や隙間の奥などに潜んでいて、意識して探さないと見つからない(探しても空振ることが多いけど)。大きさ2~3㎝。 8㎝前後のアカククリ。この時期、幼魚の各ヒレが長く伸長するのは他のツバメウオたちも同様。 ヒレの縁にまだオレンジが残るアカククリ。 ほぼ成魚と同じ姿だが、まだちょっとヒレが長めなアカククリ。特徴である突き出た口がよくわかる。

①これがアカククリの幼魚。大きさ2~3㎝。撮影/インドネシア・レンべ

②少し成長した姿。幼魚から若魚にかけて、各ヒレが長く伸長するのはツバメウオの仲間全般に見られる特徴。撮影/インドネシア・レンべ

③ヒレの端にオレンジが残っているものの、かなりアカククリっぽい。撮影/沖縄・ケラマ

④まだちょっと背ビレと尻ビレが長めだが、ほぼ成魚と同じ姿。アカククリの特徴である突き出た口がよくわかる。撮影/沖縄・石垣島

アカククリ(幼魚)のソックリさん?

アカククリ
ツバメウオ

あまりにも奇抜なデザイン…そこには何か意味があるのではないか? とつい理屈をつけたくなるのが人情というもの。そこでアカククリが暮らすサンゴ礁に似た生き物はいないかと探してみると…あ、いた!

⑤アカククリの幼魚の模様パターンとよく似たヒラムシの仲間(学名プセウドビケロス・グロリオーサス)。しばしば低層に泳ぎ出すことも知られている。また、同じような模様のヒラムシは他にもいる(例えばプセウドビケロス・ハイマンアエ)。
一般にヒラムシの仲間は「食感が悪い」「毒がある」という理由から捕食者が少ない。アカククリの幼魚は彼らに擬態することで身を守っていると考えられている。撮影/沖縄・座間味島

⑥ニセツノヒラムシの仲間。少し成長したアカククリの幼魚とちょっと似てない? 撮影/沖縄・ケラマ諸島

ツバメさんトリオの青春時代

アカククリ

ミカヅキツバメウオ(若魚)
写真は成長段階いろいろの若魚たち。海底近くで小さな群れをつくる。他のツバメウオの仲間と識別しづらいが、体側後部の帯の直前に細い帯があることが特徴(楕円部分)。ただ、成長すると消えてしまう。もっと小さな幼魚は全体に茶色っぽく、枯葉によく似た感じ。
なお、ツバメさんトリオの成魚はコチラを参照ください。撮影/インドネシア・ロンボク

アカククリ
ツバメウオ

ツバメウオ(若魚)
成魚はインド・西太平洋のサンゴ礁に広く分布しダイバーにもなじみ深いのだが、幼魚や若魚はめったに見られない。子供時代は沖合に浮かぶ流木などに少数で付いていることが多く、ダイバーの活動範囲とはズレていることが原因のようだ。撮影/伊豆大島

ナンヨウツバメウオ(若魚)
小さな幼魚はインリーフや港内などの表層でゴミや枯葉に紛れて浮かんでいる。季節来遊魚として南日本でもしばしば見られ、ツバメウオの仲間の幼魚の中ではダイバーが出会うチャンスが最も多い種類だろう。写真くらいに成長すると群れをつくるようになる。撮影/伊豆半島

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