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基礎からわかる! ダイビングスタート&スキルアップ術
第43回 失敗から学ぶドライスーツ術
初めてのダイビング、久しぶりのダイビングは「どうしたらいいの?」と戸惑いの連続。
今さら聞けない基本スキルから絶対にマスターしたい必須スキルまでここでおさらいしちゃいましょう!
第43回
失敗から学ぶドライスーツ術
水温が20℃を切るようになると、ドライスーツに移行する人が増えてくる。
寒がりな方は沸点(ウエットからドライへの切り替え温度)がもう少し高いかもしれない。
久しぶりのドライスーツ、または今季初めてドライスーツを着る方、大丈夫ですか? ちゃんと着れそうですか?
今回は、あまりドライスーツを着る機会がなく、いつも失敗ばかりしている『MD』副編集長ゴット姉さんの失敗談を元に、賢いドライスーツ術を体得したい。
写真はすべてモデルダイバーの方々。ゴット姉さんとは関係ありません
ドライスーツの着方
10月はまだウエットスーツでイケルとして、 11月になると上がった後の気温の低さもあって、
ドライスーツに着替えるダイバーが多いように思う。
実際、水温も20℃台の前半に。気温よりあったかいけれど、1時間近くダイビングをしていると、
体も冷え冷えしてしまう。やっぱりドライに替えたほうがよさそうだ。
では、まずドライスーツの着方をおさらいしよう!
動画で見る! ドライスーツの着方
思い出した、思い出した!と
安心しているだけじゃダメ
まずこの連載「番外編」で紹介した、ドライスーツの着方の動画を見てみよう!
失敗ポイント1
インナーは全てインすること
そもそもインナーは、ドライスーツ専用のかっちょいいインナースーツを着用すべきなのだが、
最近は日常着でも保温性、発汗しても蒸れない服があるので、そちらに走りがちな方もいるかも。
かくいうゴット姉さんも、まだ自分のドライスーツを持つほどにはドライスーツを着る機会があまりないので有り合わせのインナーになりがち。
で、やってしまうのが、インナーをONにしてドライスーツを着てしまうこと。
上着はズボンにインする(入れる)、ズボンは靴下にインする(入れる)。
この2大鉄則を忘れてしまうわけだ。いや、忘れているわけではなく、カッコを気にしているうちにあれよあれよと準備が始まってしまい、仕方なくそのままになってしまうことも(言い訳)。
カッコを気にするなら、オーバーオール(いわゆる、つなぎ服)や、上下おそろいのインナースーツにするといい。
パンツ(ズボン)の裾は靴下の中に
失敗ポイント2
サスペンダーを入れたままにしてませんか?
周りにいる人とワイワイ話をしながら、ドライスーツを着ていると、何やら違和感が。
あ、サスペンダーが中に入ったまま着ちゃってた!!
そんな失敗はありませんか? ゴット姉さん、数えるほどしかドライを着てないのに、大半はそんな失敗を繰り返している。
こっそり脱いで、サスペンダーを出そうとしていると、ガイドさん「よくやるんですよね~」と、すっかり見抜かれている。
恥ずかしいですね~。何度もやってはいけませんね~。
あれ、サスペンダー、忘れた!
(イメージ写真。実はこのドライスーツはサスペンダーのないタイプなのです)
失敗ポイント3
反対の足を入れる
ドライスーツを慌てて着ると、わりとよくやるのが本来は左足を入れるところに右足を入れてしまう……というようなこと。
ブーツまでたどり着いたときに、違和感を覚え、よく見ると、反対側の足を入れていたことに気づくと言う次第。
ウエットスーツでは後ろ前に着るという失敗もあるけれど、ドライスーツはさすがにブーツが付いているのでそうはならない。が、入れる足を間違えることはあり得るので気をつけよう!
ちゃんと座って落ち着いて履けば、間違いは少なくてすむ
失敗ポイント4
手首の骨の上で留める
ようやくドライスーツを腰まで着たら、あとはエントリー直前に着ればいいのだが、
「さあ、行きましょう」と声がかかると、やっぱり焦る。
サスペンダーをかけて、腕を通して……。
このとき、リストシールは爪を立てたり、無理に引っ張ったりすると、亀裂が入りやすいのでていねいに扱わなくてはならない。なので、コワゴワと腕を通す。本来は手首の骨のでっぱりよりも腕側まで引っ張り上げておかないとならないのに、骨の上で留めてしまうがために、水没……。
シールはていねいに扱うにしても、しっかりと上まで上げること。
引っ張り過ぎに注意をしながら、ゆっくりと袖を通し、腕の骨が出っ張っている部分を出す位置まで引き上げる
失敗ポイント5
頭ぬきは一気に
袖に腕を通したら、いよいよ頭入れ。
ここも爪で引っかいたり、無理に引っ張ったりすると、ネックシールがすぐに痛むので、ていねいに扱う必要がある。
髪の毛が長い人はゴムで最低でもひとまとめに。頭をするっと入れるためのヘッドカバーを利用するのが一番。
裏ワザとしては、コンビニのビニール袋を頭にかぶって頭ぬき。
ただ、鼻や口をふさぐと超ツライことになるので、あくまでも髪の毛を覆うぐらいの気持ちで。
また、ネックシールに頭を通すときに、一気に口の下までシールを持ってくるようにすると、するっとヘッドカバーやビニール袋を外せるし、呼吸もできるのでラクチン。
口の下が無理でも、鼻の下までは持って行っておきたい。
万が一、鼻の途中でネックシールが止まると、鼻からも口からも息ができずにかなりツライことに。
慌てると余計に抜けないし……。ここが勝負のしどころ。頑張れ。
髪の毛はひとまとめに
失敗ポイント6
ネックシールの折り方
ネックシールは内側に4~5cm折り込むのが正しい。
……のだが、見よう見まねでドライスーツを着始めたゴット姉さん。
最初にやらかしたのは、ネックシールを外側に折ったこと。
当然、ダイビング中には入る入る、冷たい水。
大失敗だ。
また、外側にも内側にも折らずに入ったときも、
ダイビング中、冷たい水がジュワ~っとスーツ内に。
ダイビング前に、ネックシールは内側にしっかり折り込んでおこう!
失敗ポイント7
ダイビング直前に内部の空気を抜く
まだあるのか!と驚くなかれ。あるんです。
ウエットスーツとは異なり、ダイビングの直前にドライスーツ内の空気をできるだけ抜いておくことも大事なポイント。
ネックシールを広げて座り、中の余分な空気を抜けばいいだけなのだが、忘れちゃうんだな、これもまた。
水没とはまったく関係はないが、エントリーしてからが面倒なので(必死に抜かなくてはならない)、
必ずやっておこう!
首の部分をちょっと引っ張っておいてしゃがむと、スーツ内の空気が抜ける
失敗ポイント8
ネックシールやリストシール忘れ
ドライスーツのサイズだけでなく首回りや手首回りがぴったりフィットしていれば、はめる必要はないのだが、
水没をできるだけ避けるためにはネックシール、リストシールはしておいたほうがベター。
でも、付け忘れ、多いのだ。
忘れずにちゃんと付けて、水没を防ごう!
失敗ポイント9
ファスナーはきっちりと
ありがたいことに、ゴット姉さんのバディやインストラクター、ガイドさんは素晴らしい方ばかりでこれで失敗したことはないのだが、「ドライスーツあるある」がファスナーをきっちり最後まで閉めなかったがための水没。
ドライスーツのファスナーは自分の命を預けられる人にしてもらえ
という名言があるが、本当にそうだと思う。
さらに、ファスナーを閉め終わった後、2~3回、自分でもファスナーのストラップを引っ張って、
最終確認をしておくといい。
失敗ポイント10
中圧ホース忘れ
ドライスーツの着用がすべて完了し、いよいよダイビング器材を装着。
ウエットスーツのときと同様、バディチェックを確実にする必要があるが、よくあるのが、ドライスーツの給気バルブに中圧ホースを接続し忘れること。
これを忘れると、水中で超スクイズが起き、ツライこと、ツライこと。
水中だと中圧ホースもあらぬ方向に浮かんでいたりするので、キャッチできず・・・。
バディに助けてもらって、中圧ホースをはめようとするも、水中ではかなり苦労。
でも、はめないよりははめたほうがいいので、頑張って。
慣れてくると意外と忘れがちなのでご注意を! 陸ではめ忘れ、水中でやろうとすると大変なのだ
ダイビング中のドライスーツスキル
失敗ポイント11
潜降時に排気バルブをオートにしていない
事前にしゃがんでドライスーツ内の空気を抜いたとしてもまだ抜き切れていない。
でも、ドライスーツは非常によくできていて、排気バルブをオートにしておけば、左腕を上げただけで、排気ができる。
でも、なぜかバルブがオートになってなくてマニュアルになっていることが。
腕を上げたところで、空気は出て行かない。
押して排気するか、バルブをオートに設定するか。いずれにしてもひと手間がかかる。
また、潜降時は気づかなくても、水中で給気した後に、水深を上げていくときに、排気バルブがオートになっていないと、いきなり吹き上げの原因に。
エントリー前にチェックしておけばいいことなのだが、皆さま、ご注意を。
排気バルブには文字が書かれているので、よく見てセットしておこう
失敗ポイント12
アンクルウエイト忘れ
ドライスーツ用に重めのフィンを履く場合はまったく問題がないのだが(そういえば、ドライスーツ用のブーツ部の大きなフィンを持っているのに、持っていくのを忘れてしまうということもあった。注意!)
ゴット姉さんだけでなく、多くの人が忘れがちなのが、アンクルウエイトの付け忘れじゃないだろうか。
足に空気がたまったことに素早く気づき、対処できればいいのだが、気づくのが遅いと“吹き上げ”の原因に。
深場で潜って、浅瀬に戻り、エグジットポイントまで水深7~8mをずっと泳ぐようなスポットだったとき、アンクルウエイトを忘れて潜っていて、深場ではよかったが、浅場になってからはずっと、足の空気を抜く作業をしていたことも。
まったく楽しくなかった(笑)。
くれぐれもお忘れなきように。
失敗ポイント13
水深が上がっていることに気づかず給気
まだあるのか!? 失敗ポイント! ありますよ~。……って、胸を張るものではないのだが。
水中では水深が下がると水圧で空気が圧縮され、ドライスーツ内の空気も圧縮されてドライスーツ内に給気しないとスクイズの原因になったりする。
でも水深というのは気づかないうちに上がったり下がったりするもので、スクイズがツライからと給気しているうちに、実は水深が上がっていて、いきなり吹き上げ状態になってしまったりすることも。
給気のタイミングは水深の変化もよく考えてするようにしよう。
吹き上げの防ぎ方
これだけいろいろな失敗をしていると、
リカバリーも上達するものである(自慢してどうする?)
吹き上げしそうになったとしても、簡単には吹き上げさせてやるものか(笑)という心意気も大事だと思う。
では、吹き上げしそうになったときは、どうするか?
足がほぼ真上に浮き上がった状態になっているので、くるんと体を回転させてみる。
するとお尻が下になったところで、お尻の重みで足が下がってくるのだ。意識して体をくの字に曲げるとなお効果的。
空気が足のほうから上に移動してくるので、排気バルブはマニュアルにして、ボタンを押して排気し続ける。
そうすれば、頭が上に、足が下に下がってくるので、排気をし続けながら、体勢を整える。
元の水平姿勢に戻ったときに、ある程度抜き過ぎた空気を入れて、スクイズが起こらない程度に空気を入れればOKだ。
また、このときに、排気バルブをオートに戻しておくといい。
吹き上げしそうになっても慌てない心を持って臨んでいただきたい。
足が上がって吹き上げそうになった!
腰を折るようにしながらくるりと回転するとお尻が落ちる
体勢を整えている間は、排気バルブをマニュアル側にして強制排気をし続ける
ドライスーツの脱ぎ方
首が抜ければあとは簡単!
ドライスーツを脱ぐ時も、ファスナーを誰かに開けてもらえば(前ファスナーの場合は自分で開けられるし、閉められる)、あとは、一人でできる。
難関は着るときもそうだったが、頭抜き。
髪の毛が引っ張られて痛い思いをしたくない方は再びヘッドカバーやコンビニ袋等のご利用を。
爪を立てないようにして、首の後ろ側のシールの先端を左右の人差し指、中指、薬指でつまみ、
空気を入れるようにしながら、一気に頭を抜くといい。
後ろも前もとずりずり脱いでいくと、口や鼻でシールが止まってしまったときに呼吸困難になるので、やめたほうがいい。
動画で見よう!
ドライスーツの見方は、やはり以前「番外編」で紹介しているのでご覧あれ!
ということで、いかがだっただろう?
これからドライスーツが活躍するシーズン。
皆さんはスマートに、カッコよく、ドライスーツを着こなして、活用してくださいね!
バックナンバー
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