- ホーム
- スキル
- ダイビングキルアップ術
- 第45回 曇り止めの極意
基礎からわかる! ダイビングスキルアップ術
第45回 曇り止めの極意
水中で視界を得るためにはマスク(水中メガネ)が必要なのだが、 皆さん、曇り止めはバッチリですか? ダイビング中に曇って困ったりしていませんか? 今回は、失敗しない、曇らない、曇り止めを研究してみよう!
そもそも、なぜマスクのレンズは曇る?
陸上のメガネでも急激な温度差がある時、ラーメンを食べる時や花粉症でマスクを着用している時などにレンズが曇ることがあるが、曇りの原因は「結露」。空気中には目に見えない水分あり、温度が高いほど多く、低いほど少なくなる。暖かい空気が冷たいメガネのレンズに触れて温度が下がると、レンズ表面にその水分が付着し、曇る。
ダイビング中、マスク(これは水中メガネのこと)が曇るのは、レンズの表面は海水温と同じぐらいに下がっているのに、鼻で息をしてしまうことで人間の体温に近い暖かい空気がマスク内部に触れ、結露してしまうのが原因。
つまり、鼻で息を吐かないことが、レンズを曇らせない唯一の方法。
でも、陸上で鼻呼吸をしている人間、ついついしちゃうんですよね。
まあ、レンズが曇ったら、マスククリアをすればいいだけの話。
でも、曇り止めを塗っておいたときと、曇り止めを忘れたときの曇り具合は全然異なるので、曇り止めを塗っておくことは絶対必要なのだ。
なお、マスクレンズの曇りは、日焼け止めや、女性の場合は特にファウンデーションの油分がマスク内で熱されてレンズに付着、結露に至るというケースもよくある。日焼け止め、ファウンデーションをある程度ふき取ってからダイビングをするようにするといい。
マスクのレンズが曇ると、視界がさえぎられ、不安にかられることもあるので、要注意。
ビギナーの頃はそもそもレンズが曇っていることに気づかず、不安になったり気分が悪くなったり。
ビギナーの皆さんは“なんだか視界が狭くなったな”と思ったら、マスク(レンズ)が曇っている可能性が大なので、マスククリアをするといい
曇り止めには何を使う?
曇り止め液派? ツバ派?
月刊『マリンダイビング』が創刊した約50年前の1969年頃はもちろん、筆者がダイビングを始めた1980年代は、マスクの曇り止めといえば、ツバをペッペッっとレンズに吐いてゴシゴシまんべんなくこすった後に、水や海水で流すというものだった。
なので、曇り止め液を忘れたときはツバ派に戻るわけだが、ある日、冷たい視線が……。
いやいや、ツバで曇り止めをしたって、洗い流す時はみんなと同じバケツを使ったりしないし、使うとしても、マスクを直接バケツに入れたりしませんから~。
曇り止めには何がいい?
既に大勢のダイバーが曇り止めを持参して使っているようだが、専用の曇り止めがダイビングショップなどで販売されているので、それを使うのが一番。
ただし、曇り止めにもいろいろなタイプがあるので、それを理解して購入するといい。
ダイビングショップなどで販売されている曇り止め
写真の一番右はアメリカ製の「SEA DROPS」。曇り止めとレンズクリーナーを兼ねている液体タイプで、ガラス面の内側だけでなく外側も塗ると、クリアな視界を長時間確保できるというもの。
この「SEA DROPS」のパッケージがゴールドのもの「SEA GOLD」も市販されていて、クリーナー作用はないが曇りを強力に防いでくれるジェルタイプ。
右から2番目はSASの「ANTI-FOG」。濃縮液体の曇り止めタイプで、ジェルタイプと液体タイプのいいとこ取りをしたような感じとか。
左から2番目はGULLの「ピュアデミスター」。環境と人にも優しい、食品にも使われる界面活性剤を採用。ジェル風のとろみ成分にもこだわったくもり止めで、売り上げの3%が環境保護団体へ寄付されるという商品となっている。
なお、防水スプレーで水滴をはじくという方法も。やってみたことはあるが、マスクの外側をクリアにするのにはオススメだが、内側は曇り止めのほうが有効だったように思う。曇り止めとの併用はできないのでご注意を。
曇り止めの方法
新しいマスクの場合
まず、マスクは古くなってくると曇りやすくなる傾向があるが、新しいものは新しいもので製品を仕上げる際にガラス面に油膜が付いているものが多いので、曇りやすい。ガラス面だけでなくスカートの部分も同様なので、実際に使用する前の晩に一晩、洗剤に浸けておくことをお勧めする。
この場合、ダイビング専用の曇り止めでもいいし、歯磨き粉(粉じゃないけど)や台所用中性洗剤でもOK。
ダイビング直前には改めて曇り止めをするのだが、一晩浸けておくため、香りがキツイものだと残るので、ご注意を。
編集部でよく使うのは歯磨き粉。まずは内側のレンズに歯磨きを浸けてまんべんなく伸ばし……
スカート部にも歯磨き粉を塗っておく
歯磨き粉の場合は、塗ったまま一晩置いておく。
中性洗剤の場合は、水を貼ったバケツや容器に中性洗剤をたらし、マスクごと浸ける
曇り止めのタイミングはダイビング直前に!
新しいマスクの方も、そうでない方も、マスクの曇り止めのタイミングは、潜る直前がベスト。
よく早めに曇り止めをしている人がいるけれど、早く曇り止めをして、そして流してしまったら、効果は薄くなる。
でも、ダイビングツアーでは曇り止めを急かされる場合もある。そんな場合は、曇り止めをして水を流す時に、 水を捨てないで直前までマスクに水を貯めておくと、効果は持続する。または曇り止めだけをしておいて、直前に水で流すか。
ダイビングのできるだけ直前に、曇り止めをするのがいい
一番の解決策は鼻で息をしないこと
マスクを曇らせないためには、鼻から息を吐かないこと。
まあ言うは易しってやつだ。
でも、なるべく口呼吸を意識して行なうようにしよう!
マスククリアのおさらい
それでも、マスクが曇ってしまったら・・・。
マスククリアをして、視界をクリアにするのが一番!
マスククリアの方法は覚えているかな?
まずマスク内に水を入れて、曇りをなくす
マスクの上部を軽く押さえてやや上を向き、鼻から息を吐いて水を押し出す
鼻に水を感じなければマスククリア完了だ!
まあ、これはともかく、曇り止めをしっかりして、快適なダイビングをエンジョイ!
バックナンバー
- 第51回 ダイビングにホントに必要な器材
- 第50回 久しぶりのダイビングのチェックスキル
- 第49回 トラブル対処法 その2 忘れる編
- 第48回 トラブル対処法 その1 マスク編
- 第47回 タンクベルトの締め方
- 第46回 魚や生物のウオッチング術 Part 3 ザトウクジラ編
- 第45回 曇り止めの極意
- 第44回 BCの洗い方
- 第43回 失敗から学ぶドライスーツ術
- 第42回 ダイビング器材のお勉強 その2
- 第41回 ダイビング器材のお勉強 その1
- 第40回 ダイブコンピュータで一人前のダイバーになる!
- 第39回 外れたタンクの直し方
- 第38回 船酔い対策
- 第37回 ウエイトの分散
- 第36回 ビーチダイブのエグジット
- 第35回 ボートダイビングのエグジット
- 第34回 ボート? ビーチ?
- 第33回 刺す危険生物
- 第32回 噛む危険生物
- 第31回 煙幕ダイバーから卒業
- 第30回 ひと目でわかるダイブコンピュータ
- 第29回 マスク&フィンのカンタン脱着術
- 第28回 スノーケリングのお作法
- 第27回 Cカード講習って何?
- 第26回 空気消費量の算出法
- 第25回 オクトパスブリージング
- 第24回 ナビゲーション Part 3
- 第23回 ナビゲーション Part 2
- 第22回 ナビゲーション Part 1
- 第21回 魚や生物のウオッチング術 Part 2 回遊魚の群れ編
- 第20回 魚や生物のウオッチング術 Part 1 マンタ編
- 第19回 エンリッチド・エア・ナイトロックス
- 第18回 できる耳ぬき
- 第17回 ボート上のマナー
- 第16回 ボートエントリー
- 第15回 ビーチエントリー
- 第14回 安全な浮上方法
- 第13回 安全停止攻略法
- 第12回 ダイビング中の呼吸
- 第11回 とっさのときのBC操作
- 第10回 適正ウエイト
- 第9回 耳ぬき
- 第8回 セーフティフロートを上げる
- 第7回 中性浮力
- 第6回 マスククリア
- 第5回 潜降の方法
- 第4回 ダイブコンピュータ
- 第3回 フィンワーク
- 第2回 BC&タンクのラクな背負い方
- 第1回 ダイビング器材セッティング方法
- 番外 基本スキルをおさらい!
- 番外 動画で見る!ドライスーツの着方