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海のいきもの
第77回 世界最大のお魚~ジンベエザメ
ダイビング界の大物ツートップといえば、もちろんマンタとジンベエザメ! マンタは以前記事にしたので、今回はジンベエザメでいきます。構成・文/山本真紀(2021年3月制作)
ジンベエさんの基礎知識
ジンベエザメは軟骨魚類(エイ・サメ)の仲間。ジンベエザメ科-ジンベエザメ属に属しており、1科1属1種。風貌も独特だが、分類学的にもユニークな存在。
ジンベエザメ
和名は甚兵衛模様が由来。水面や水上から見ると、この模様が海にジワ~と紛れてカムフラージュの効果あり! なお腹部は真っ白。撮影/フィリピン・サウスレイテ
- ●英名/その巨体からWhale shark(ホエールシャーク)。
- ●地方名/エビス(エベス)ザメ(千葉、神奈川、静岡など)、クジラブカ(鹿児島など)、ミズ(ミジ)サバ(沖縄)など色々あり。
- ●分布/全世界の温帯・熱帯海域。
- ●大きさ/世界最大の魚類。最大18mになるというが、よく見るサイズは5~10m。
- ●食性/主食は動物性プランクトン。メインは小型甲殻類らしいが、サンゴや魚の産卵時期に合わせてやって来て、卵や稚魚を捕食することも知られている。
- ●繁殖スタイル/卵胎生(胎内で卵が孵化、赤ちゃんを出産)。'95年に台湾で捕獲されたメス(全長10.6m・体重16t)の子宮内からは、空の卵殻と胎児が入った卵、胎児307尾が見つかった。
バキューム! 海水ごと一気に捕食
マンタと同じように、大きな口を開けて泳ぎながらプランクトンを捕食することもある。でも、海面近くに獲物が大量に集まっているときは、一気に海水ごと吸引するという奥の手を使う。このとき立ち泳ぎとなることが知られており、沖縄の《美ら海水族館》などでも観察できる。撮影/メキシコ・ラパス
やたらとエラがでかいワケ
海水ごと動物性プランクトンを捕食することはわかったが、そうなると気になるのは大量の海水の行方。いくら巨体でも、海水でおなかがパンクしちゃうのでは? という心配はもちろん不要。
ジンベエザメの䚡孔
サメの仲間は胸ビレの前あたりに5個のエラ穴(䚡孔)がある(エイの仲間は腹部)。口から入った海水はここから排出し、そのとき鰓耙(さいは)というブラシ状の器官で酸素を取り入れるのだが、ジンベエザメの場合は動物性プランクトンを濾し取ることにも利用。そのため䚡孔は大きく、よく目立つ。撮影/モルディブ
ネムリブカの䚡孔
こちらはホワイトチップとも呼ばれるネムリブカ。日中は岩穴や亀裂などに寝転んでいるが、夜になると行動開始、エビ・カニや小魚などを捕食する。ジンベエザメと比べると䚡孔は非常に小さいが、ネムリブカは酸素を取り入れることに使うだけなのでコレで十分ということだろう。撮影/インドネシア・コモド島
ジンベエより下を泳ぐとワカルこと
表層で生活することが多い魚類は、一般に背中側が暗い模様で腹側は白い。敵の目をくらますカムフラージュといわれ、ジンベエザメも同様だ。ついでに腹ビレ部分を見てみよう。ここに2本の棒状のものがあればオス(画像)、見当たらなければメスとなる。この棒はクラスパーと呼ばれる交接器で、この雌雄判別法はエイ・サメの仲間に共通。撮影/モルディブ
コバンザメ以外にもお伴いろいろ
大型の魚類に付き従う魚の多くはコバンザメ。でも全部が全部そうとは限らない。この画像内にもアジの仲間がチラホラ見えるし、拡大してみるとスギもいる(一番下の黒っぽい魚)。ふだんは自由生活者だが、ジンベエザメやマンタに併泳することがある。ちなみに、最近は養殖され「黒カンパチ」という名で店頭に並ぶことも。撮影/タイ・タオ
ジンベエさんのソックリさん
トラフザメ
サンゴ礁の潮通しのいい砂地の海底などで見かけるサメ(大きさ1~3m)。ずんぐりした体形や尾ビレ上葉が長いところ、体に流れる隆起線などジンベエザメとよく似た雰囲気をもつ。実際、分子系統学的にも「ジンベエザメ科とトラフザメ科、コモリザメ科は共通の祖先から分化してきた」という説が有力。撮影/ニューカレドニア
●ジンベエザメの記事はこちら↓
▶モルディブ/ジンベエザメをダイバーが救出
▶神子元/ジンベエザメに遭遇
▶見られるエリア/モルディブ、インドネシア、シミラン、タオ
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