第4回 ピント合わせをうまくなる
水中写真がうまくなる!!
第4回 ピント合わせをうまくなる
みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。
しっかりとピントが合った写真を水中でも撮ろう
撮影地:パラオ
まずは基本の「半押し」をマスターしよう
デジカメのオートフォーカス機能の精度が向上し、ピンボケ写真とは無縁になりましたが、水中写真の世界では、まだまだピント合わせが難しいという声を聞きます。それは、陸上とは違って撮影者の姿勢が不安定なことや、普段あまり撮らないような小さな被写体が多いことも理由の一つでしょう。基本的には、水中でも撮影の手順は陸と同じです。まずはオートフォーカスを作動させるための「半押し」をマスターしましょう。これは、シャッターボタン(またはレバー)を文字通り半分だけ押す動作です。これにより、デジカメはピント合わせを開始します。この半押しがうまくできないと、ピント合わせをする前にシャッターを切れてしまうことになります。この半押しの深さは、機種によって異なりますし、ハウジングに入れた場合はさらに半押しの感覚が難しくなると思いますので、海でなくても自分のデジカメを触って半押しに慣れておきましょう。また、水中でグローブをはめて潜っている人は、さらに半押しの感覚をつかむのが難しいので、練習あるのみです。ピントが合ったら、間髪入れずにシャッターを切りましょう。このとき、あまり強く押すと、デジカメが揺れてしまい、手ブレの原因になりますので、注意してください。
自分のデジカメ+ハウジングで半押しの感覚を覚えておこう
半押ししてピントが合うと、音やランプでデジカメが知らせてくれる
オートフォーカスの方式を変えてみよう
通常、オートフォーカスは半押しして、ピントが合うと、その距離でピントを固定します。例えば被写体まで1メートルの距離で半押しし、ピントが合ったのならば、半押しを解除しない限り1メートルの位置にピントが合ったままということになります。これはシングルオートフォーカスやスポットと呼ばれるオートフォーカスです。記念写真や風景撮影など、撮影者と被写体の距離が変わらないときに使うオートフォーカスです。水中でこのオートフォーカスで撮影すると、被写体との距離が変わるたびに半押しをしなおさなくてはなりません。そこで、動く被写体、被写体との距離が変わる撮影に適したオートフォーカスに設定を変えましょう。
水中では、被写体との距離が一定でないため、ピントがずれてしまうことも
動いている被写体向きのオートフォーカス
1,コンティニュアスオートフォーカス
前述のシングルオートフォーカスが、半押しでピントの距離が固定されるのに対し、コンティニュアスオートフォーカス(メーカーにより呼称の違いがあります)は半押ししている間、ピントを合わせる四角い枠(フォーカスエリア)に入った対象物にピントを合わせ続ける機能です。被写体との距離が変化しても、フォーカスエリアにピントを合わせたい部分が収まっていれば、ピントを調整してくれます。泳ぐ魚や、中層での撮影など被写体との距離が定まらない水中写真では非常に有効なオートフォーカスです。筆者もこのオートフォーカスで撮影しています。反面、ピントを合わせたい部分をフォーカスエリアに収めなくてはいけないのと、ピントが合っていなくてもシャッターが切れるので、しっかりと確認して撮影しなくてはなりません。マクロ撮影など、シビアなピントが要求されるときは撮影後に画像を確認しましょう。
コンティニュアスオートフォーカスはAF方式の変更から設定しよう
泳いでいる被写体でも、オートフォーカスを調整してピントが合う
撮影地:ケラマ諸島
動いている被写体向きのオートフォーカス
2,自動追尾オートフォーカス
コンティニュアスオートフォーカスがフォーカスエリアに入った対象物にピントを合わせるのに対し、自動追尾オートフォーカスは撮影者が設定した位置にピントを合わせつづけようとする機能で、被写体の位置が変わってもある程度ピントを追従してくれます。この二つに限らず、動く被写体や距離が定まらないときの撮影用に、ほとんどのデジカメは何種類かのオートフォーカスが備わっていますので、わからないときは、取り扱い説明書をもう一度読んでみましょう。
動く被写体には設定を変えてみよう
ピントを合わせたい部分でロックする
被写体が画面内で移動しても、ロックした位置にピントを調整してくれる
手ブレを防いでピンボケを解消
ピントがしっかり合っていない写真には、ピントを合わせたい位置からずれてしまっているときと、ブレたことでピントが甘く見えるときがあります。シャッターを切ったときにデジカメが動いてしまい、画面全体がブレてしまった失敗写真が手ブレです。これは、デジカメを両手でしっかり持ち、動かないようにすることで軽減できます。また、暗いところだと手ブレしやすくなるので、ISO感度というデジカメが光を感じる度合いの設定の数値を高くしてあげましょう。陸上よりも光が弱く、体も不安定な姿勢で撮影しますので、注意してください。
シャッターを切るときにデジカメが動いてしまって画面全体がブレた手ブレの失敗写真
小型のコンパクトデジカメでも、両手でしっかりとホールドすることで、手ブレを軽減できる
ISO感度を高い数値に設定すると、手ブレしにくくなる
まとめ
今回はピント合わせの注意点を解説しました。陸上ではピント合わせは簡単ですが、水中ではなかなか難しい技術ではないかと思います。特にマクロ撮影では、ちょっとのピントのズレで印象が変わるので、しっかりとピントを合わせたいですね。
次回は水中機材の中でも大切なストロボについて解説します。水中写真では、ストロボのような人工光源はマストアイテムといっても過言ではないでしょう。次回もお楽しみに。
皆さんの疑問、質問にお答えします!!
皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!
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- 原田 雅章
- 1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は23年、約4500本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。