第6回 水中ライトで撮ってみる
水中写真がうまくなる!!
第6回 水中ライトで撮ってみる
みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。
写真撮影に適したライトで、水中写真を撮ってみよう
撮影地:富戸
ライトでも写真は撮れるの?
前回の連載では、ストロボの必要性について解説しました。ストロボやライトは、水中写真の世界では、色を再現するために欠かせない機材です。最近は光量が十分にあり、点灯時間も長い水中ライトが増えてきました。以前のようにストロボだけでなく、ライトを使って撮影するダイバーも増えてきています。ただ、ストロボ撮影との違いもあるので、解説していきましょう。
ライトでも水中写真が楽しめる
撮影地:八幡野
ライト選びの注意点
水中ライトは、写真を撮らないダイバーでも持っている人はいるでしょう。ですが、どの水中ライトでも水中写真に適しているかというと少し違います。まずは点灯時の光の色に着目してみましょう。
ライトの光は、光源によって色が違います。撮影に適しているのは、日中の太陽光に近い発色をするライトで、撮影用のライトには「色温度」と呼ばれる点灯時の色を数値化したものが表示され、単位を「K(ケルビン)」で表示してあります。写真の世界では、太陽光は5500ケルビンとして設定していますので、水中ライトもこの数値に近いものが太陽光に近い色を発色するということです。
使うライトの色によって、被写体の色再現が忠実にできるかどうかが変わってしまうので、ライトを選ぶとき注意してほしいです。なお。ストロボはもともと写真を撮るために作られていますので、あらかじめ5500ケルビンに近い設定になっています。
もう一つ注意したいのは、点灯時間です。バッテリーの容量や、点灯時間もメーカーサイトや商品カタログをチェックしてライトを選ぶといいでしょう。
筆者のライト撮影時のセット。二つのライトを使用して撮っている
デジカメの設定に注意
ライトだけの撮影時は、ストロボを使用しません。ですので、デジカメ本体のストロボ発光モードを発光禁止にセットしましょう。また、ストロボに比べるとライトの光というのは、実際にはとても弱く、ストロボでの撮影と同じ絞り値を得ようとすると、かなりのスローシャッターになってしまいます。そこで、ISO感度を高く設定し、それを補いましょう。
デジカメ本体のストロボは発光禁止モードにセットする
通常のISO感度よりも高めにセットしておこう
ライト撮影では、ストロボ撮影時よりもISO感度を高くすることで、ストロボ撮影時に近い露出値を得られる
f8 1/250秒 ISO800 撮影地:八幡野
ライト撮影が便利なところ
ストロボはシャッターを切ると発光しますので、撮ってみないと明るさや角度といった、光の当たり具合がわかりません。しかしライトはシャッターを切る前から点灯しているので、事前に確認しながら撮影ができます。外部ストロボの光が、被写体にうまく当てられないというお悩みを耳にしますが、ライトであれば、容易にライティングを確認することができるでしょう。
ストロボ撮影では、奥まったところにいる被写体は、影になってしまう失敗も起こりがち
撮影地:南越前(2点とも)
ライト撮影であれば、事前にライティングを確認してから撮影ができる
ライトなら、スポット光で撮影しやすい
被写体だけに光を当てて、周囲を暗くするスポットライトのような撮影も、ストロボよりライトのほうが撮りやすいでしょう。先ほども解説したように、事前にライティングを確認できるので、どの位置に光が当たっているかを確認しながら撮影ができます。スヌートと呼ばれる光を狭めるパーツもありますので、いつもと違った雰囲気の写真を撮りたいときはおすすめです。
光の当たる範囲を狭めて撮影。背景が暗く、被写体だけ色を再現している
撮影地:八幡野
スヌートと呼ばれる光の当たる範囲を狭めるパーツ。ライトの照射角がもともと狭いタイプや、より狭い範囲に光が当たるように自作する人も
ライト+ストロボ撮影も楽しい
ここまではライトのみの撮影についての注意点を解説しましたが、ライトとストロボをミックスさせた撮影もおすすめです。作例では、被写体の後方からライトを当てて透明感を出し、デジカメ側からストロボを発光させて、色を再現しています。このように光を当てる角度を変えると写真がどう変化するかがわかるのがライト撮影の楽しいところですので、いろいろ試してみてください。
透明感のある被写体は、後方からライトを当てると雰囲気が変わる
撮影地:バリ島
まとめ
今回はライトについて解説しました。前回のストロボの解説と併せて読んでいただくと、ライティングの知識が高まるのではないかと思います。
次回はワイド撮影について解説します。ワイドコンバージョンレンズの使い方や、ワイドレンズの特徴などを紹介していきます。次回もお楽しみに。
皆さんの疑問、質問にお答えします!!
皆さんの疑問、質問にお答えします!!「どうしてこんな風に写ってしまうの?」、「このボタンは操作すると、写真がどう変化するの?」など質問があれば、どんどんお答えします!!
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- 原田 雅章
- 1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は23年、約4500本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。