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STOP! 潜水事故
CASE136 寒さで浮上中、海水誤飲、パニックに

CASE136 寒さで浮上中、海水誤飲、パニックに

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE136 寒さで浮上中、海水誤飲、パニックに

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

【事例】 事故者は朝、現地集合し、9時過ぎからインストラクター1名とゲストダイバー5名とでダイビングをスタートした。エントリーしてから約15分後、事故者がインストラクターに、寒いので浮上したいとサインを送った。インストラクターは事故者とともに全員を集め、浮上速度をコントロールしながら浮上を開始。エントリー後20分ぐらいで海面に浮上した。しかし、事故者の異常を感じ、すぐに船上に引き上げた。事故者は呼吸はあったものの口と鼻から血液交じりの泡を出しており、唇はチアノーゼ状態でああったため、船上で人工呼吸を行い、その後酸素吸入を行いつつ、救急車を要請。港に到着し、エグジット1時間後、救急車に引き継がれた。

事故者の後日談では、浮上中に過呼吸になり、海水を飲み込んでパニックになってしまったとのこと。

直接の原因海水誤飲

対処法

海水誤飲でパニック……。事故者は生存できて良かった。こういったケースの何割かは残念ながら死に至ることもあるので、今後同じような状況に陥った際に死なないためにも、生存できた方の例は有益だ。 だが、その前に! 水中で寒さを感じることは多くの方があると思うけれど、すぐに浮上したいと切迫するほど耐えられない寒さを感じるのは問題だ。ダイビング中の寒さ対策、保温はダイバーがやらなければならない、安全ダイビングのための一歩。ウエットスーツの厚さは大丈夫か、ドライスーツの場合はインナーは相応のものを着用しているか、今一度装備を考え直す必要がある。また水中では手足、頭からの放熱速度が速いので、グローブやフードを着用すること、ブーツを履くにしてもその下に保温性の高い素材のソックスを履くことなどが求められる。
今回の事故者も極度の寒さを感じなければ、慌てて浮上する必要はなかったはずだ。 また、事故者が寒さを訴えているものの、ほかのダイバーはそうでもなかったことを考えると、事故者は体調に問題はなかっただろうか? 風邪気味である、熱があるといった状態だったとすると、水中で寒さを感じるのは当然だ。ダイビングに行く前に体調を整えておくことはもちろん、発熱している、風邪をひいているといったときは、迷わずダイビングを中止する勇気も必要。 次に浮上中の注意。インストラクターは浮上速度をコントロールしながら浮上したとのことだが、事故者は過呼吸になってしまったという。
過呼吸であることをその場で認識するのは意外と難しいことなのだが、過呼吸になりそうと感じることは意外とできるはず。そうなったら、この連載で何度か掃海している①STOP ②BREATH ③ACTの「SBA」の原則を思い出そう。
① のSTOPは、まず何がその場にとどまること。根や岩につかまったり、海底につかまったりするのがベストだが、つかまるモノがない場合は、インストラクターなど信頼できる人につかまろう。その時にハンドシグナルでSTOPしたい旨を伝えられるよう、覚えておくといい。
② のBREATHは、呼吸するという意味であることはわかるだろうけれど、大事なのは①のとどまった状態であること。そこでゆっくりと息を吐く、息を吸う。深呼吸のように肺の奥まで空気を吸ったり吐いたりする必要はないのだが、1、2、3、4、5と数を数えながら息を吐き、同じように1から5まで数を数えながら息を吸うようにするといいだろう。
③ のACTは、①②で落ち着いたら、行動しようという意味。なかなか落ち着かない場合は、焦って行う必要はない。
これで過呼吸になることは防げるはず。過呼吸にならなければパニックも防げるし、海水を間違って飲み込むことはない。 保温と、過呼吸にならないための方法を実行できれば防げる事故。このことを知っていること、実践できることは、安全ダイビングの大きな一歩になるはずだ。


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