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STOP! 潜水事故

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STOP! 潜水事故

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。
ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。
そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE紹介

CASE 42 水中で意識朦朧に

CASE42 浮上後、意識朦朧に

CASE41 タンクのバルブ開け忘れ

CASE 40 潜降中に行方不明

CASE 39 咳き込んで海水を飲み、パニックに

CASE 38 ダイビング中、低体温症に

CASE 37 カメラが岩に挟まってエア切れに

CASE 36 ダイビング中に天候急変、浮上後流される

CASE 35 フリーフローと溺れ

CASE 34 1月の海で減圧症

CASE 33 撮影に夢中になりエア切れ

CASE 32 エアの早い友達を先に上げてダイビングを続行し、漂流

CASE 31 ドライスーツ着用でパニックに

CASE 30 フィッシュウオッチング中にパニックに

CASE 29 ダイビング中に気分が悪くなり病院搬送

CASE 28 エア切れで漂流

CASE 27 海洋実習中、海水を飲み込み、死亡

CASE 26 BCに空気が入らずパニックに!

CASE 25 6月、北の海で70代女性が意識不明に

CASE 24 マスクに海水が浸入して大パニック!

CASE 23 水深40mを潜り、減圧症の疑い

CASE 22 BCに空気が入りっぱなしになり急浮上

CASE 21 浮上したら係留していた船がいない!

CASE 20 水深35mでパニックに

CASE 19 残圧がなくなり一人で浮上し、死亡

CASE 18 ナイトダイビングで帰らぬ人に

CASE 17 フリーフローでエア切れに

CASE 16 レギュレータークリアに失敗して・・・

CASE 15 ロープ潜降で1人行方不明に

CASE 14 初めてのダイビングでパニック

CASE 13 一人セルフダイブで帰らぬ人に

CASE 12 ボートダイビングで移動中に骨折

CASE 11 ダウンカレントにつかまり気づけば-40m超

CASE 10 エアがない!→パニックに

CASE 9 ダイビング中に心停止

CASE 8 海中で咳込んでパニック→急浮上

CASE 7 浮上後、体が痺れて目の前が真っ暗に

CASE 6 ボートから逆に流され13時間漂流

CASE 5 エアがなくなったダイバーに突然レギュを奪われパニック

CASE 4 水中で迷子になり、死亡

CASE 3 持病を隠して潜水中、突然の体調不良で失神

CASE 2 マスククリアができずパニック!

CASE 1 ダイビング中に息苦しくなり意識不明に

CASE 43 うねりで顔面強打:次回更新予定日 2016年10月26日

CASE14 初めてのダイビングでパニック

原因今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

 インストラクター1名が引率するビーチダイビングに5名が参加。3人(Aさん、Bさん、Cさん)と2人(Dさん、Eさん)の2組のバディを組みビーチダイブを開始した。インストラクターを先頭ににDさんとEさん、その後ろにAさん、Bさん、Cさんが続いた。
 岸から約30m離れたところで潜降を開始するとAさんが水深10m付近で耳ぬきができないとインストラクターにサインを送った。インストラクターは全員を停止させ、Aさんの目の前で耳ぬきを確認するが、上手くいかないのでBさんを呼び、2人で浮上させた。残るCさん、Dさん、Eさんの3人を連れてインストラクターはダイビングを続行。
 一方、水面に浮上するときにAさんがドタバタし始め、慌てたBさんが腕をつかんで落ち着かせようとしたが、AさんはBさんを振りほどいて急浮上。水面に上がった後、Aさんが「苦しい」とうめいてレギュレーターを外した。BさんはAさんを引っ張って岸に連れていこうとしたが、さらにバタバタとしだしたので、怖くなったBさんは助けを呼ぼうと、岸に向かって急いで泳いでいった。
 が、振り返るとそこにはもうAさんはおらず、救助の人と付近を探すと、海底10m付近でレギュレーターを外して横たわっているAさんを発見。急いで引き揚げ、CPRを施しながら病院へ搬送するも、死亡が確認された。
 Aさんは3年前にCカードを取得したものの、ファンダイブはこの日が初めてだった。

対処法

 これまで13回、事例を挙げてきたが、よく見るとパニックで事故を起こしている例が多いことに気づいた。何か強いストレスを与えられたときに、それに耐えきれずパニックを起こしてしまう人がとても多いことの表れなのだろうか。いや、生き延びている人も多いことを考えるとパニックを起こす人が多いのではないのかもしれない。パニックを起こさないように気持ちを制御できる人が助かるという証明なのだろう。
 ちなみにパニックを起こすと死亡に至るケースも少なくないので、レジャーダイビングとはいえ、セルフコントロールができるよう、メンタルトレーニングをしておく必要はある。

 さて、この事例を見ていくと、インストラクターが耳ぬきのできないAさんとその日初めて会ったであろうBさんを「2人で」浮上させ、インストラクター自身は問題のない3人とダイビングを続行している。建前でいえば、このインストラクターは安全な人に合わせるのではなく、問題のあるAさんに合わせて全員で一緒に浮上するべきだった。が、現実にはそれでは問題のないダイバーにとっては不満しか残らずクレームの対象になるばかりでなく、二度と来てもらえなくなる可能性も出てくる。インストラクターはダイビングを続行しなくてはという強迫観念にとらわれたかもしれない。
 ただ、AさんはCカードを取った後、3年のブランクがあり、ファンダイブも1本目。何かが起きてもおかしくはない因子を持っていたことは確かだ
 インストラクター側はAさんをグループに入れるのではなく、マンツーマンのリフレッシュダイビングを勧めただろうか? Aさんがちゃんと浮上して陸に戻れると本気で思ったのだろうか?

 Aさんには本当に気の毒だが、Aさんもブランクダイバーだという自覚を持って、まずはグループで潜るのではなく、リフレッシュコースを受けるべきだった。現在は各ダイビングショップやダイビングサービスで、こうしたブランクダイバー向けのリフレッシュコースを設けているし、コースではなくてもマンツーマン、もしくはガイド1人に2人までのダイバーといったごく少人数でのファンダイブを実施している。ブランクが心配な方はぜひ受けてみるといい。たいてい1ダイブ、もしくは1日2ダイブで講習のときのことが思い出せるはずだ。
 Aさんはもしリフレッシュコースを受けないで、このようなグループでのダイビングをせざるを得なかったならば、パニックにならない術=セルフコントロールを身に着けておくべきだった。前述したように、これはダイビングのスキルというよりは気持ちの問題なので、ダイバーの皆さんが身に着けておくべきテクニックだと思う。

 さて、Cカード講習を受けたからといっても、実際のダイビングですべてが上手くいくのはごく希。たまに問題なく潜れる人もいるけれど、多くの人が耳ぬきができない、潜降ができない、中性浮力がとれない……といったトラブルを抱えることになる。自動車免許と同じで、免許を取ったからといって、一般道路や高速道路をスイスイ運転できるようになるには時間がかかる。車線変更も最初はオドオドだし、駐車だって難しい。ダイビングも同じで、ダイビングを経験することによってスキルは身についていくものなのだ。講習を受けたからハイOK!とはならないと思っていたほうがいい。

 これからダイビングを始める方が増える時期。ぜひ基本的なスキルを身につけること。そしてブランクダイバーにならないようにコンスタントに潜りに行くようにしよう。

 あともう一つ、提案です。
 インストラクターが1人で何人か連れて行くというグループダイビングは普通のことなのだが、ダイビング業者側は安全対策であと1人、アシスタントでもいいのでスタッフを連れていくことを常態化させてはどうか。世知辛い世の中、経済的、人員的に無理!と声を上げて反対される方もいるだろうが、中にはそういうサービスもあるので、できなくはないのでは?

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