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STOP! 潜水事故
CASE87 タンクのバルブの戻し過ぎ

CASE87 タンクのバルブの戻し過ぎ

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

ダイビングの始め方徹底ガイド(大) 潜水事故に学ぶ安全マニュアル100(大)

CASE87 タンクのバルブの戻し過ぎ

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

ショップ主催のダイビング講習に参加した20代女性は、海洋実習でビーチエントリーを開始。
水深5mを移動中には異常がなかったのだが、水深14mに達した時にレギュレーターから空気が来なくなり、急浮上をしてしまった。インストラクターが急浮上する女性に気づき、ただちに追いかけてオクトパスを渡したが、女性はパニック状態でオクトパスを受け取ることができず浮上し続け海面に出てしまった。インストラクターが海面に出たところ、女性は咳き込んだ後、海水を嘔吐。インストラクターは陸にいる人に声をかけ救急車を要請。10分後には救急車が来て病院に搬送された。
病院で女性も落ち着きを取り戻した。診断の結果は異常なしだったが、一日の経過観察入院となった。
エントリー前にバディ同士で器材チェックをしたところ、器材に異常は認められず、レギュレーターで実際に吸気してもいたが、特に問題はなかった。事故後、器材を調べたところ、タンクのバルブが全開から1回転戻ったところになっていた。通常は1/4回転ぐらい戻すところを1回転戻していたために、深度が深くなったところで圧がかかって吸気できなくなったものと考えられる。

直接の原因パニック

対処法

タンクのバルブは全開にしたままだと、閉めるときに閉まりにくくなるために「開けたら少し戻す」と教わるのだが、戻し過ぎてしまうとこういうことが起きるという例。90度ぐらい、つまり1/4回転ぐらい、戻し過ぎたとしても半回転ぐらいまでが目安。時々、一度開けて残圧を確認した後、バルブを閉めておく際に半分ぐらいしか閉めず、実際に潜る時にやはりレギュレーターチェックで呼吸をしてみると空気は出るため開いているものと勘違いして潜ってしまって、同様のパニック、急浮上が起きることも。くれぐれも気をつけたい。

この事故者は海洋実習中で経験もなかったから仕方ないといえば仕方ないのだが、空気が来ないという非常事態が起きた時の手順は習ったばっかりだったはずなので、実践していただきたかった。まあ、潜水病(エアエンボリズム)にならなかったので緊急アセントができていたかもしれないが。

その手順だが、覚えているだろうか?

1 まずバディやインストラクターの目線をもらうために腕や肩などに触れてこちらを見てもらう。
2 気づいてもらえたら、レギュを人差し指で触り、異常があるという意味のサイン(顔の横、真ん中ぐらいまで手のひらを下にして持ち上げ、ひらひらさせる)を送る。
3 送られた人はバックアップ給気源であるオクトパスを持って、相手に渡す。
4 渡された人はレギュレーターを外してオクトパスをくわえ、呼吸をしてみる。
5 OKだったら、相手にOKサインを送る。

この一連の動作をスムーズに迅速に行えるようにすること。

事故者は急浮上してしまったが、もし急浮上するにしても、必ず息を吐きながら浮上すること。
そして、水面に上がったらまずBCに給気して浮力を確保すること。

事故者はパニックになってしまったようだが、これが一番危険なこと。
何か起きても、まず気持ちを落ち着けて、冷静に対処できるようにすることが安全潜水への近道だ。
気持ちを落ち着けるためには、行動をストップしてその場に止まる。できれば着底するか、何かにつかまるといい。少しぐらい呼吸を止めても大丈夫。それから次にすべきことを考え、前述したようにオクトパスをもらうよう、行動すればいいだけだ。

でも、このような事故を起こさないための一番のポイントは、タンクバルブの開け方。
くれぐれもしっかり開けてちょっと戻す、を忘れないようにしていただきたい。

(関連連載)
CASE 53 エグジットの際、うねりで骨折

次回更新予定日 2020年7月22日

CASE88 ダイビングボート座礁

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