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STOP! 潜水事故
CASE64 オーバーウエイトと過呼吸でパニックに

CASE64 オーバーウエイトと過呼吸でパニックに

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE64 オーバーウエイトと過呼吸でパニックに

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

事故者は友人と2人でセルフダイビングを開始。
タンクの残圧が少なくなったため、2人で浮上した。
海面付近まで来た時、事故者がウエイトを外そうと苦しそうに足をバタバタと動かし、空気が欲しいと要求したので、友人はオクトパスを貸した。
その後、水面に浮上して海岸に向けて移動していたところ、エグジット地点まであと20mぐらいというところでいきなり事故者が友人にしがみついた。友人は驚きながらも自分のBCを渡そうとしたが、事故者は沈んでいってしまった。

友人は海岸にいた知人に119番通報をしてもらうように頼み、海底を捜索。ほかのダイバーも加わって海底を探すと、水深6mの海底に事故者が沈んでいるのを発見。この時、エアはゼロにはなっていなかった。
引き揚げた後、すぐに蘇生処置を試みるも、意識不明状態。到着した救急車に引き継いで病院に搬送されたが死亡が確認された。

直接の原因溺れ、オーバーウエイト、
パニック

対処法

ダイビングの事故は、ダイビング中というよりはこのケースのように水面で起こることが非常に多い。
その一番の理由が「浮力の確保」ができないことから。

この事故者も落ち着いて浮力の確保さえできれば、亡くなることはなかっただろうことを考えるととても悔やまれる。
友人の方もオクトパスを渡したり、浮力を確保できるようにBCを渡そうとして頑張ったにもかかわらずこんな結果になってしまって、さぞかし肩を落としていることと思う。

それにしても、事故というのはこんなふうにトラブルが積み重なり、負の連鎖につながって起こるものである。

この事故者の場合、浮上中にまず「エアがない」ということで、バディである友人にオクトパスをもらったわけだが、実際にはエアはゼロになっているわけではなかった。
おそらく、急激に減っていく残圧に驚き、不安に陥り、過呼吸になってしまい、自分のレギュレーターでの呼吸が難しいと感じたからではないだろうか。
実はこれ、よくあることで、不安に陥ったり、ストレスが非常にかかった状態になると、ちゃんとした呼吸ができなくなり、過呼吸状態になり、「レギュレーターからエアが来ない」と訴えることになる。
そんな場合は、とにかくどこかに止まって(着底するのが一番だが、そうでない場合はバディやインストラクターにつかまって)、自分のレギュレーターをしっかり押さえながら、ゆっくり大きな呼吸をすること。2回、3回と吸って、吐いてを繰り返すと、脳に酸素が回り、ストレスや不安感が落ち着き、頭もスッキリしてくるはずだ。
これができるのとできないのとで、生死が大きく分かれるといっていいほど、実は大切なこと。
とにかく過呼吸になった、なりそう、パニックになりそうというときは、立ち止まる、大きくゆっくりとした呼吸をする、この2つの手段をとっていただきたい。

事故者はしかし、このことができずに、水面に上がったものの、今度は浮力の確保をしなければならないのに、もうパニックになっていて、沈みがちになってしまい、ウエイトを外そうともがいていたのであろう。

水面に浮上したら、とにかく浮力を確保することが一番。
BCに空気を入れればいいだけのことだ。
もし本当に残圧がなくて、インフレーターの給気ボタンを押したのでは空気が入らない場合は、
口で空気を吹き込めばいいだけの話。かなり大変だけど、頑張って空気を入れればBCに浮力が付いて水に浮いていられるようになる。

また、一番の原因といえるのは、オーバーウエイト。
浮上するときにもがいたのも、ウエイトが重すぎてなかなか浮上できなかったのも理由かもしれない。
またウエイトが重すぎるから水面でも沈みがちだったのかもしれない。
必要以上のウエイトは持たない。着けない。中性浮力でも同様だが、適正ウエイトは大事なことなのだ。

皆さん、万が一、何かが起きたら、とにかく呼吸をしっかり保つこと、そして水面では浮力を確保すること。そして絶対に死なないという強い意志を持つこと。これを肝に銘じて、楽しく安全なダイビングを楽しんでくださいね。

ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??

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