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STOP! 潜水事故
CASE100 エア切れで定置網に絡まる

CASE100 エア切れで定置網に絡まる

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE100 エア切れで定置網に絡まる

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

事故者はダイビング仲間6名とともに7名でビーチからエントリー。当日は海面付近の透明度が悪かったのだが、ダイビングを終えて帰る際に、事故者は一人、海面付近を泳いで浜に向かった。海岸近くに設置されている定置網にタンクが絡み、身動きができなくなる。必死にもがいてはずそうとしたものの、脱出できず、エア切れに。

仲間が戻ってこないことから捜索を開始し、定置網に絡まっている事故者を発見。救助して海岸に運び、心肺蘇生を試みたものの、心肺停止状態に。119番に通報して救急車で病院に搬送されたが、死亡が確認された。

死因は海水吸引による窒息死。

直接の原因身体拘束 エア切れ

対処法

当日の状況は、ダイバーが7名、セルフでのビーチダイビング、海面付近の透明度が悪い。

セルフダイビングをする前には、当日の海況に応じたダイビング計画を綿密に行うのが鉄則なのだが、それをするためには、現地のダイビングサービスや漁業関係者に水温、透明度(透視度)、流れ、その他注意事項を聞いておく必要がある。
その上で、バディ編成を行い、潜水計画を立てることになる。

事故者は計7名で潜ることになっていたが、最後に一人だったことを考えると、バディ潜水の体をなしていなかったのではないか?という推測が立てられる。
さらに、海況についても、海水面近くは透明度や透視度が悪いということが最初からわかっていたら、定置網の方面には行かないように計画を立てていたはずだ。だが、事故者はそれができなかったということは、潜水計画もなしに潜っていたか、事故者が勝手にコースを変えて、定置網方面に一人、向かって行ったか……ということになる。

もしバディ潜水がしっかりできていたら、事故者が定置網に絡まる前に、「そちらは危険だから、もっとこっちへ」という指示がバディからできたはずだし、透視度が悪かったら、より近いところにバディがいて、コースから外れていることを知らせることだってできたのではないかと思う。
また、海水面は透明度が悪くても、もう少しに潜っていれば。視界がある程度確保できるぐらいの透明度、透視度だったはずなので、わざわざ透明度の悪い所を泳ごうとしているバディを制止することもできたであろう。

「もし」「たら」「れば」は事故が起きた時に、つい出てしまう言葉なのだが、この事故のように死に至るようなことになってしまうとすると、どうしても「もしこうしていれば」「もしこうしていたら」と考えてしまう。

・バディ潜水を守る
・視界の悪い海況でもいいところもあるので、活動はいいところでして、EN&EXの時にバディ同士で用心しながら潜降、浮上をする。
・潜水計画を立てて、コース取りをしっかりと把握する。特にセルフダイビングの場合は絶対だ。

以上の3点を確実に守って、セルフダイビングを行っていただきたい。


それにしても……。

タンクが定置網に絡まってしまったのだとしたら、冷静に考えて、エアがなくなる前にBCを脱いで自分だけ緊急浮上することはできなかったのだろうか? 定置網でバタバタすると、フィンなど足も絡まってしまう可能性はあるけれど、タンクだけだったら、何か逃げ道があったのではないか? 
いざというときは、命のほうが大事なので、ウエイトはもちろん、定置網で絡まってしまったタンクもBCもレギュも捨てて、自分だけが助かる方法を考えるだけの冷静さも必要だ。

死亡に至ってしまったことは本当に残念。事故者とそのご家族には心よりお悔やみ申し上げます。
そしてその死を無駄にしないよう、教訓とさせていただきます。

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