
DIVING スタート&スキルアップ 2021
ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。
ビーチダイビングを終え、海面移動中だった事故者は
リーフカレントの影響でエントリーした場所に戻ることができず、
そのうちに右のフィンが脱落。
疲労がたまってきたことにより戻ることを諦め、流れに身を任せて漂流しながら
岸に向かって救助を要請。
海上保安庁のヘリに救助された。
直接の原因漂流
そもそもリーフカレントって何だろう?
海水は一定の場所にとどまっていることはほとんどなく、
ゆるやかに、時には(または所によっては)急激に流れているものだ。
その流れの速さ、強さ、流れる方向は島の形によっても異なるし、海中の環境によっても異なる。
イラスト/鈴木伸
わかりやすくいえば、
イラストのように、島に向かって流れる流れを向岸流、
その流れが島やリーフに沿って流れるものが並岸流、
そしてそれらの流れが回りまわって沖に向かうのが離岸流となる。
リーフカレントというのは、離岸流の一種で、サンゴ礁海域で呼ばれることが多い。
サンゴ礁では島の周りにリーフが発達していて、
リーフの切れ目は海水の流入や流出が盛んに行なわれ、時として非常に強いカレントが発生することがある。沖に向かって流れる強いカレントのことを「リーフカレント」と呼ぶのだ。
事故者は岸に向かって水面を必死に泳いでいてフィンを落としてしまったのだそうだが、
沖に向かって流れているのに陸に向かって泳いでも、体力は消耗するばかり。
いくら泳いでも近づけないときは、陸に向かう流れに乗ることが一番。
そのためには、一早く離岸流から離れるためにも陸と平行に泳いで並岸流に乗り、
陸に向かう向岸流をつかまえるのがコツ。
そのためには、水面移動中、BCに空気を入れて浮力を確保し、下ばかり向いて泳ぐのではなく、
陸と平行に泳いでいることを確認しつつ、
陸に近づく流れに乗ったことがわかるよう、頻繁に陸の景色を見ておくことが必要だ。
なお、なかなか陸に近づけない!といって焦ったりパニックになったりしないように
くれぐれも落ち着いて対処しよう。