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STOP! 潜水事故
CASE 97 繁忙期のダイビングでパニック

CASE 97 繁忙期のダイビングでパニック

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

ダイビングの始め方徹底ガイド トラブルに遭わない、遭っても対処できるダイバーになるために…潜水事故に学ぶ安全マニュアル100

CASE 97 繁忙期のダイビングでパニック

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

ある年の夏のこと。事故者は姉とともにほかのショップのゲストと合わせてガイド6名、ゲスト20名でボートダイビングに参加。出港後午前中に1本目のダイビングを行ない、午後は場所を変えて2本目のダイビングを開始した。
潜降中、パニックに陥っている事故者をインストラクターが発見し、取り押さえながら浮上した。事故者は呼吸と脈はあるものの、顔面蒼白であったため、118番通報をし、海上保安庁のヘリによって搬送され、救急車に引き継がれた。病院に到着後、肺水腫直前であることから入院加療が必要と診断された。

直接の原因パニック

対処法

事故者が20代女性だった以外は頻繁に潜っていたかどうか、経験が豊富だったのかどうかなどがわからないのだが、お姉さんとダイビングに出かけていたという状況と年齢を考えると、それほどの経験者ではないように思う。

ただ単に事故者が潜降中にパニックになったのは、そういった経験や技量の未熟さが大きいのかもしれない。
耳ぬきがなかなかできない、ウエイトが軽すぎて沈まない、しっかり息を吐ききれずに沈まない……などの理由で「できない」ことがストレスになって過呼吸になり、息苦しくなってひたすら浮上したくなってしまったのかもしれない。

でも、『マリンダイビング』としては別の要因もあるのでは?と考える。

まず20名のゲストにガイド6名が乗るような大型ボートでのダイビングとなると、船上でのスペースが限られ、ワサワサした中でセッティングをしなければならないし、ブリーフィングもほかのグループの声も聞こえてきたりして、集中できるような状態ではなかった可能性がある。ダイビングサービス側ではできる限りゲストが快適に潜れるよう努力をしていたとしても、夏という繁忙期は時間厳守が重要事項の一番になってしまい、ゲストによってはせかされた感じのほうが強くなって落ち着けない気分になる可能性もある。
この事故者が2ダイブ目の潜降中にパニックになったのも、そういった心理的な背景があったのではないだろうか。
落ち着かない気分=不安感がまさり、過呼吸に陥るというケースは陸上でも珍しくはない。ましてや水中という特殊な環境であればなおさらだ。

集団行動を守れないのもよくないことではあるけれど、ことダイビングに至っては、ゆっくり落ち着いて、自分のペースを守りながら行なうことが大事。それを認めてくれないようなダイビングサービスやインストラクターはいないと思いたいけれど、一度利用してみて、まるで昭和時代のベルトコンベアー式なダイビングしかさせてくれないようなダイビングサービスだったら、次からは利用しないという選択をすることも必要だと思う。ダイビングを楽しませてくれるダイビングサービスやダイビングガイドのほうが皆さん、幸せでしょう? 安全のためにもぜひチェックしたい点だ。

ちなみに、20名のゲストに6名のガイドが付いていったということはガイド1名あたり34人のダイバーなので、その点では問題はない。

……と、パニックになりそうになった時の対処法を書き忘れて終わりそうになったが、これまでの連載にも登場したように、「あ、パニックになりそう」と感じたら、
S
Stop(とにかく止まる。できれば着底するか、何かにつかまる)
B
Breathe(呼吸する。ゆっくりした呼吸を意識する)
T
Think(落ち着いてきたら、自分がどうすればいいかを考える。ダイビングは続けられないと判断したら、その旨をバディとガイドに告げて浮上したい旨を伝える)
A
Act(そのように行動する)

上記のS/B/T/A4つのアクションを覚えておいてほしい。とにかく、止まれ!が先決。

次回更新予定日 2021年5月19日

CASE98 エントリー後行方不明に

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