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STOP! 潜水事故
CASE27 海洋実習中、海水を飲み込み、死亡

CASE27 海洋実習中、海水を飲み込み、死亡

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。
そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE27 海洋実習中、海水を飲み込み、死亡

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

ある年の7月。事故者(40代女性)はほかの実習生ら2名とともにダイビング実習中、水中でマスククリアの訓練をしていたところ、海水を飲み込み苦しんだためにインストラクターが海面に浮上させ、BCに空気を入れた状態で休憩させていた。
その後、意識がなくなったため、人工呼吸を施されつつ付近の浜に引き揚げられ、病院に搬送されたが、事故から9日後、溺水による窒息で死亡した。

直接の原因溺れ

対処法

 講習中の事故は本来あってはならないものだ。安全には100%気を遣って講習が行なわれているはずのもので、100%、事故は起こってはいけないものなのだが、起きてしまうのはなぜなのだろうか?
この事故の場合、「事故者は実習生ら2名とともに」、つまり3人で海洋実習をしていた。インストラクター1名に対し3名というのは、規格外の人数ではない。ただインストラクターの負担は相当増えるので、本音でいえば「できればマンツーマン、多くて2人がせいぜい」といったところではないだろうか。それはともかく、人数という点では“法的には”問題はなかった。

 では、マスククリアの練習で海水を飲み込み苦しんだ事故者を水面に連れていき、BCに空気を入れた状態で休憩させていた……というのは、正しい対処だったのだろうか?
休憩させていたというよりは、ほかの講習生がマスククリアの練習をはじめ、いろいろな練習をするのを待たせていたということだと思える。
まだダイバーになっていない、講習中の人が、海水を飲み込み、不安な状態でいるときに、水面で一人待っているのは、果たして大丈夫なんだろうか? いや、大丈夫ではないから事故者は死亡に至ってしまったわけだが。

 ということで、管理ができなかったインストラクターの責任はかなり大きいと思う。

 事故者のご冥福を祈りつつ、でも私たちはこの事故から何かを学ばなくてはならない。
事故者はどうすれば良かったのだろう?

 これからダイビングをするというダイバー予備軍の方にもぜひ覚えておいてほしいのだが、ダイビングではとにかく呼吸を確保することが大事。そして水面では浮力が大事。

 マスククリアをするときに海水を飲み込んだとあるが、レギュレーターをしっかり加えて呼吸をしていれば、海水を飲み込むはずがない。
また、万が一鼻から海水を吸い込んでしまったとしても、咳き込むことはあってもレギュレーターを押さえていれば、大丈夫。
「レギュレーターは絶対外さない」そして、「常に吸って、吐いて、と呼吸を続ける」
この2点を忠実に守れば、死に至ることはないはずだ。

 そして、あってはならないことだが、このケースのように水面で一人で待機しなくてはならなくなったら、とにかくBCを膨らませて、浮力を確保する。
そして、さらに水面でまた海水を飲み込んでしまう可能性もあるので、レギュレーターでの呼吸を続ける。BCを背にして顔が水に浸からない程度の浮力が確保できれば、レギュレーターを外して、口で普通に呼吸もできるようになるが、波がかかったときにすぐにレギュレーター呼吸に切り替えられるよう、どんなときもレギュは右手から離さないのがサバイバルへの一歩だ。

 ちなみに、マスククリアができずにパニックになる人も少なくないようなので、プール講習が終わったらお風呂でマスククリアの練習をして、マスターしておこう。

ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??

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ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
また、ダイビングは海という大自然と向き合います。
だからこそ、「水中で体験した感動は忘れられない!」、「人生を変えるほどダイビングは素晴らしい!」と感じるダイバーが多いのも事実です。
しかし、自然が相手のスクーバダイビングですから、100%安全なんてことはありません。万が一のときあなたはどうしますか?
そんな時、DAN JAPANがあなたをサポートします。

詳しくは、こちらをご覧ください。

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