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STOP! 潜水事故
CASE84 冷水海でフリーフローが仇となり…

CASE84 冷水海でフリーフローが仇となり…

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

ダイビングの始め方徹底ガイド(大) 潜水事故に学ぶ安全マニュアル100(大)

CASE84 冷水海でフリーフローが仇となり…

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

北国の、まだ水温が冷たい冬のダイビングでのこと。
ダイビングショップのツアー総勢10人とインストラクター、現地ガイドとアシスタントで週末、ダイビングに出かけていた。初日の1ダイブ目でチェックダイビングをしていた時、事故者が引率していたインストラクターにレギュレーターの不調を訴えたため、インストラクターが一緒に岸に戻ろうと指示を出したところ、事故者は通常よりも速いスピードで水面に浮上。インストラクターが慌てて追いかけると、事故者は水面で息も絶え絶えになっており、インストラクターは陸にいる人に声をかけて救助を要請。ようやく事故者を岸に挙げるも既に意識がなく、CPRをしつつ、救急車を待って病院へ搬送。
病院で死亡が確認された。溺水による窒息死であった。
事故者のレギュレーターを調べたところ、フリーフロー気味であった。

直接の原因溺れ

対処法

以前紹介した「CASE35」に非常によく似たケースなのだが、問題点は
1)レギュレーターがフリーフロー気味であったこと
2)体温より低い低水温だったこと
3)事故者が急浮上したこと
の3点に絞られると思う。

まず、1番目のレギュレーターがフリーフロー気味だったという点。バーストするように空気が噴き出していたわけではなく、空気が常に出ているか、漏れている程度であったかといったところだと思う。常に出ている感じであるとすると、ベテランでも潜っていて不安になるレベルだが、漏れている程度であれば、ダイビングに慣れている人であればそんなに気にならずにすんだかもしれない。
ただ、潜っている場所が冷水海ということであるとすると、ちょっとの漏れでも無視はできないもの。
やはりダイビングを中止して、陸に戻る必要がある。

でも、いくらダイビングを中止するといっても、落ち着いて、普段どおりにゆっくりと浮上する必要がある。おそらく事故者が溺水しているということは、既にパニックに陥っていて、レギュレーターが外れ、海水を誤飲した可能性もあるのではないだろうか。そして急浮上してしまったことにより肺に水が入った可能性もある。

低水温、冷水海では、人間は思考力や集中力が通常を100%とするとかなり低下する可能性が高い。
それだけに、器材も装備も、ダイビング計画もしっかりと準備されたものでなければならない。
事故者はダイビング直前の器材チェックの際にレギュレーターで呼吸してみただろうか? もししていなくて、フリーフローに気づけなかったとしたら……。逆に、器材チェックの際にフリーフローに気づいていたとしたら、この事故は起きなかったかもしれない。
でも冷水海では事前チェックでは問題なかったのに、水中に入って圧力がかかったために、水中で初めてこうしたフリーフロー気味になることもあるにはある。そのことを知っていれば、慌てることなく落ち着いて浮上することができたのではないだろうか。

事故者が冷水仕様のレギュレーターを使っていたかどうかが記録にないのだが、水温が0℃に近い、もしくはそれ以下になるようなダイビングでは、レギュレーター内の凍結を防ぐために開発された冷水仕様のレギュレーターを使用すべきである。
もしそれを使っていないのであれば、そのこと自体が問題だったし、万が一、通常のレギュレーターを使わなければならないような状況であれば、起こり得る問題点を事前に確認しておくとよかったのではないだろうか。

ところで、普通ならフリーフローをしてもセカンドステージのマウスピース側を下にして、手のひらにポン!と打ち付ければフローしなくなるもの。それすらも知らない人が多いようだが、事故者ももしかしたら知らなかったのでは?

人間が本来住むべき場所ではない水中世界では、どんなに準備してもトラブルは起こり得る。
そのことを心に置いて、何があっても慌てずに落ち着いて対処できるよう、日頃から備えておきたいものである。
特に過酷な条件のダイビングでは、準備や器材、体調をしっかり整えてから臨むようにしていただきたい。

関連連載:
CASE35 フリーフローと溺れ

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次回更新予定日 2020年4月22日

CASE85 水深28mでの水中撮影後、減圧症に

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