年間125万人が訪れるダイビング情報サイト

Marine Diving web

  • Facebook
  • Twitter
  • はてブ
  • LINE

STOP! 潜水事故
CASE144 マスクのズレでパニック浮上

CASE144 マスクのズレでパニック浮上

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE144 マスクのズレでパニック浮上

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

【事例】 事故者を含むゲストダイバー5名とインストラクター1名はその日のビーチダイビングを開始した。事故者がゲストの中で一番初心者だったので、インストラクターが事故者とバディを組む形でエントリー。インストラクター、事故者、事故者以外の4名のダイバーの順で潜降を開始した。透視度は10mほどと悪くはなかったが、潜降して水深10mほどに着いた途端、事故者が水面に向かって浮上したため、インストラクターは事故者を追っていったところ事故者はマスクがずれていて、レギュレーターを外していた。まだ海面に出ていなかったのでインスクターがレギュレーターをくわえさせようとしたが拒まれ、そのまま事故者は猛スピードで浮上。追い着いたインストラクターが事故者に浮上した理由を聞いたところ、体調不良を訴え、意識を失いつつあったことから、インストラクターは事故者のBCに給気して浮力を確保した後、海中に残っていたほかのダイバーを浮上させた。しかしほかのダイバーが海面に浮上したときには既に事故者は意識を失っていた。インストラクターは付近のダイバーに助けを求めつつ、事故者を引いて陸まで泳いだ。陸に上がった際にほかのダイビング関係者に118番通報を依頼。蘇生措置を行ったものの、事故者は搬送された病院で死亡が確認された。

直接の原因パニック

対処法

事故者には謹んでお悔やみ申し上げます。
とても残念な事故ではあるが、マスクのズレなどが原因でパニックとなるのはダイビングの死亡事故に多い事例のひとつといえる。

どうすれば死なずにすんだか。

事故者が潜降してすぐに浮上を開始したときに「マスクがずれていてレギュレーターが外れていた」ということから、そもそもマスクの装着がちゃんとできておらず息苦しくなったか、潜降中に前が見えなくなってマスククリアをしようとしたが失敗したかで、苦しくなりレギュを自ら外したことが考えられる。

安全にダイビングを楽しむためには、準備が9割、実践1割ともいわれる。特にダイビングは水中というわれわれ人間が普段生活をしていない世界を旅するものなので、水中で楽しむには、器具をしっかり整えて装着し、スキルを身につけておく必要がある。
そのうえで、ダイビング器材を正確に装着できているかどうか、潜る前にバディチェックを必ずすることも大事。今回の事故は本人のマスクの付け方が良くなかったこと、バディチェックがなされていなかったことの2点が大きな問題だ。
ゲストである事故者としては、ダイビングを始める前に、マスクはきつすぎず、緩すぎず、しっかりと装着されているか。マスク内に髪の毛などが入っていないか。正しい装着ができているかどうか、バディと一緒にしっかりとチェックしておくべきだった。

ところで事故者は初心者とのことだが、初心者だからできない、ではいけない。ライセンス(Cカード)を取得したのだから、できて当たり前のことと思っていてほしい。自分の命を守るのは、バディでもインストラクターでもなく、究極は自分であることを、普段から考えてさまざまなスキルを身につけるべきだ。

また、マスクがずれて前が見えない、見えにくいとか、体調が悪いと感じたりした場合でも、生きて帰るためには絶対にレギュレーターは外してはいけない。この鉄則を忘れてはならない。

そして、なおかつすぐに浮上しようとするのではなく、まず着底するか、何かにつかまるかして、呼吸を整え、何が問題なのかを考えること。呼吸が落ち着けば、パニックに陥ることは免れるもの。深呼吸までしなくてもいいけれど、大きく吸って、大きく吐く。これが大事。このときに吸うことに一生懸命になって吐くことを忘れ、余計苦しくなる人がいるけれど、吸うよりも息を吐くことに重きを置くように心がけておけば、呼吸は落ち着くはずだ。

CASE138や他のところでも何度も紹介しているように、パニックになりそう、えもいわれぬ不安を感じる、気分が悪くなったというときは、「SBT」(または「SBA」)の法則を思い出してほしい。パニックにならないための3つの動作Stop、Breath、Think(またはAct)を順番に行うことだ。

急浮上はエアエンボリズムという死に至ることもある潜水病を引き起こすことも多いので、しない。どうしても浮上したい場合は、浮上速度ゆっくり、息を吐きながら(声を出しながら)上がるようにしよう。

さらに、体調不良を訴えたとのことだが、ダイビング中に体調が悪いと感じたのか、その前からだったのか、も問題。その前からだったのであれば、ダイビングをやめる勇気も必要だ。そもそもダイビング前に風邪や寝不足にならないようにして、体調は整えておこう。

皆さまも、ダイビングの際はまず準備を万全にして、バディチェックを必ず実行して、楽しんでくださいね。

  ダイビングは安全が一番。でも100%はあり得ません。

もしもの時を考えて対策をとっておくことはとても大事なことです。 そんな時にDAN JAPANのサポートシステムを知っておくことをおすすめします。詳しくはDAN JAPANサイト  

ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??

ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??

ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
また、ダイビングは海という大自然と向き合います。
だからこそ、「水中で体験した感動は忘れられない!」、「人生を変えるほどダイビングは素晴らしい!」と感じるダイバーが多いのも事実です。
しかし、自然が相手のスクーバダイビングですから、100%安全なんてことはありません。万が一のときあなたはどうしますか?
そんな時、DAN JAPANがあなたをサポートします。

詳しくは、こちらをご覧ください。

DAN JAPAN
一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
TEL:045-228-3066
FAX:045-228-3063
Email: info@danjapan.gr.jp
https://www.danjapan.gr.jp/

〒231-0005
神奈川県横浜市中区本町4-43
A-PLACE馬車道9階

DAN JAPAN
  • Facebook
  • Twitter
  • はてブ
  • LINE
トップページへ戻る

バックナンバー