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STOP! 潜水事故
CASE128 振り向いたらバディがレギュを外して暴れていた

CASE128 振り向いたらバディがレギュを外して暴れていた

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE128 振り向いたらバディがレギュを外して暴れていた

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

【事例】
事故者は会社の同僚とともに二人でセルフダイビングを楽しもうと海へ出かけた。1本目を終えて2時間ほど昼休憩をした後、2本目のダイビングをするため、付近の浜辺からエントリーした。エントリー前のバディチェックでは、ダイビング器材の異常はなかった。ダイビングを開始して水深3mと水深10mの地点でバディである同僚が事故者を見て大丈夫かどうかサインを送ったところ、OKサインを出して答えており、異常はなかった。ところがエントリーして5分経ったところ、水深13mで先行していた同僚が振り返ると、事故者がレギュレーターを外して暴れていたため、すぐに同僚は事故者を抱えて浮上した。水面に浮上すると事故者の口に泡沫を発見したため、レギュレーターを事故者の口に当てながら海岸に搬送した。2分後上陸し救急車を要請。付近にいたダイビングショップのインストラクターらと協力してCPRを行いながら近くの駐車場へ搬送し、25分後、救急隊に引き継いだ。事故者は病院に搬送されたが、後日死亡が確認された。死因は溺水。
事故者のダイビング経験本数は6本だった。

直接の原因パニック 溺水

対処法

同僚であるバディはダイビングの経験があったのだろう、常に事故者をリードし、頻繁に事故者の安全確認をしていたにもかかわらず残念な事故が起きてしまった。事故者のご冥福をお祈り申し上げます。

でも、水深10mから13mに至るほんのわずかな時間に、事故者の身に何が起きたのかはわからないまま。同僚であるバディが振り向いた時に事故者はレギュレーターを外して暴れていたということから、事故者はレギュレーターを外したくなるぐらい呼吸が苦しくて、パニックに陥っていたということが考えられる。
同僚であるバディの対応としては、経験本数6本のダイバーと一緒に潜る場合は常に事故者が視界に入るように、前後に位置するのではなく、横に並んで移動することで、事故者に何かが起きてもすぐに対処できたのではないだろうか。
また、事故者を浮上させる際にもレギュレーターをくわえさせる必要があった。
セルフダイビングはアドバンス以上でできる海もあるが、レスキュー講習の修了者に限定する海もある。超初心者を連れていくのであれば、万が一のケースのさまざまな対応を学べるので、レスキューコースを受けておくことを勧めたい。

事故者側の対策として、まずダイバーなら知っていてほしいことのひとつ、何らかの要因で呼吸が苦しくなったとしても、絶対にレギュレーターを外してはならないということ。
過去に目にしてきたダイバーが「苦しい」と訴えた時の状況は、
・レギュレーターが壊れていて呼吸ができないと訴えるが、レギュレーターは壊れていない⇒息を吸うことばかりに気を取られ、息を吐いていなかった
・気持ちが焦るあまり過呼吸に陥っている
・バディやグループリーダーの泳ぎが速すぎてついていけないと焦り、苦しくなる
・バディやグループのダイバーたちからはぐれて不安になり、過呼吸に陥る
・バルブを半開きにした状態で潜っていて、吸えなくなっている
・バルブを開けていない
・窒素酔い
・急に恐怖心にかられ、呼吸が苦しくなる
などなど。
そういうことはダイビング中に起こるかもしれないこと、ということを知識として身につけていれば怖いものはないだろう。バルブに関してはエントリー前にしつこいぐらいにちゃんと開いているかをチェック。半開きの場合はレギュで息を吸うとゲージの針が大きく動くので、エントリー前にゲージを見ながら呼吸をすることで、失敗を防げる。
さらにレギュレーターさえ外さずに、落ち着いて呼吸をしていれば大丈夫。
過呼吸に陥ったり、パニックになったりする前に、落ち着いて呼吸ができる。そうすれば恐怖心も落ち着き、通常心に戻れるはずだ。
前回も紹介したけれど、
パニックになりそうになったら、「SBT」または「SBA」の3つの手順を行おう。
1)止まる(STOP) とにかくこれ以上気持ちが焦らないように、その場にとどまる。動きを止める。このとき、どこかに着底するか、つかまれればなおよい。
2)呼吸する(BREATH) パニックになる寸前に過呼吸になる傾向が大なので、そうならないために、深呼吸に近い、大きな呼吸(大きく吸って、大きく吐く)をして、呼吸を整える。
3)考える(THINK)または行動する(ACT) 呼吸が落ち着いて、思考力がクリアになってきたら、自分はどうすればいいのか、次にどんな行動をすればいいのかを考え、行動する。
これで過呼吸は落ち着き、パニックからも脱出できる。
逆にパニックに陥った人は、苦しくてレギュレーターを外し、急浮上。死に至るケースが少なくない。一般的に見れば潜水事故数は限りなく少ないのだが、事故のケースの中ではとても多い。
そうならないためにも、知識を得て、そうなったときの対処法を覚えておこう。

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