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STOP! 潜水事故
CASE130 他のダイバーと接触しレギュが外れてパニックに
ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。
CASE130 他のダイバーと接触しレギュが外れてパニックに
今回の潜水事故の原因
- バディ不遵守
- 身体拘束
- 監視不十分
- 器具の不備・取り扱い不注意
- 体調の不注意
- 技量の未熟
- 気象・海象の不注意
- エア確認不注意
- その他
【事例】
事故者はインストラクターとほか1名のダイバーとともに当日3本目のダイビングを実施。潜降して数分経った時に他のグループのダイバーと交差してしまい、事故者は他のダイバーと接触。その際に相手のフィンが当たり、レギュレーターが外れてしまった。その際に海水を誤飲してしまったが、とりあえずレギュレーターリカバリーをし、レギュレーターをくわえ直しパージボタンを押して海水を排出しようとした。しかし吸い込んだところまだ海水は排出しきれておらず。飲み込んでしまう。うまく呼吸ができないことからパニックとなり、緊急浮上。浮上後、追いかけてきたインストラクターによりボートに引き揚げられた。意識が弱くなっていたことから、船上で酸素吸入等が行われ、港へ。途中要請していた救急車で病院に搬送された。海水を飲んでいたため様子を見ていたが、意識、呼吸が戻り、翌日には退院した。
直接の原因海水誤飲 パニック
対処法
人気ダイビングスポットでは時々他のグループのダイバーたちとすれ違うことがあるけれど、交差してしまうとすれ違いざまに相手のフィンでマスクやレギュレーターを蹴られてしまい、このような事故が起きかねないので、チームリーダー(この場合は引率しているインストラクター)が交差しないように自分のチームのダイバーをまとめたり、ルートを譲り合うなどの配慮が必要となってくる。また、ゲストダイバーはインストラクターの指示を見逃さないようにちらちらと見ておくことも大事。
今回はインストラクターが配慮できなかったのか、ゲストダイバーが指示を見逃したのか、不明なのだが、インストラクターが交差しないように動けなかったのだったらインストラクターのスキルが低かったといえる。逆に事故者が指示を見逃したのであれば、事故者のスキルが未熟だったといえる。
事故の対処法としては、インストラクターに過失があったとしても、他のグループと出合った時は交差しないように、相手の動きをよく見ておくことが大事だ。海中でダイバーの存在感はかなり大きいはず。よほど透明度が悪くない限り気づかないほうがおかしい。とにかく視界を広く保っておくことが安全への近道だ。たとえ憧れの生きものに夢中になっていたのだとしても、他のグループやダイバーの存在にはすぐに気づけるぐらい、生きものを見つつ周りも見るように。他の人と接触しないためには大事なスキルだ。
次に、事故者は他のダイバーと接触した際にレギュレーターが外れ、海水を思わず飲んでしまったという。その後にレギュレーターリカバリーをしたまでは良かった。だが、パージボタンで排水しきれずに再び海水を誤飲。パニックに陥った。
パージボタンの使い方は果たして正しかっただろうか。ボタンを押しながら強めに息を吐いていただろうか。
最近はオープンウォーター講習でレギュレーターリカバリーやレギュレータークリアの際、パージボタンを押さずに息を強く吐くように指導されることが多くなっているという話を聞いたことがある。レギュレーターが外れたりレギュレーター内に水が浸入してきてしまったりしたときには、こちらのほうが有効だからという考え方だ。パージボタンを押すと同時に息を強く吐くことが最初は大変だからという考え方もあったのかもしれない。
また、ダイバーとして知っておくべきことは、レギュレーターが水中で外れると、セカンドステージ内には海水が浸入し、排出しにくくなるということ。つまり1回パージボタンを押しただけでは海水が全部排出されるとは限らない。レギュレーターをくわえ直し排水した後の最初の呼吸(呼気)は、“海水がまだ残っていること”を想定して口を閉じめにしてゆっくりとストローで空気を吸うようにすれば、万が一セカンドステージ内に残っていた海水を飲んでしまう心配はない。そして海水が口に入ってこようとするなら、再びパージボタンを押しながら息を強く吐いて排水を。これを2~3回続けて、確実に海水が口に入ってこなくなったら普通に呼吸をすればいい。
そして、レギュレーターから海水が入ってきた!と事故者はパニックになって急浮上したわけだが、これまでの対処法を知っていればパニックにはならなかったはず。思いがけず海水をごくりと飲んでしまった場合、肺に入ってしまうことがあるし、脱水のリスクが高まるため、そのままダイビングをすることは避けたい。ひと舐め程度の少量ならそんなに心配することはないが。いずれにしても、何が起きても慌てないこと。インストラクターやガイドに知らせること。ダイビングを安全に楽しむためにも心しておこう。
また、パニックになりそうな予感がしたら、ここのところ毎回紹介している「SBT」または「SBA」の3つの手順で、パニックから回避すること。ぜひ前回の記事をご確認いただきたい。
ダイビングは安全が一番。でも100%はあり得ません。
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ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
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バックナンバー
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