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STOP! 潜水事故
CASE134 ダイビング事故の多くは水面で起きる

CASE134 ダイビング事故の多くは水面で起きる

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE134 ダイビング事故の多くは水面で起きる

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

【事例】
事故者はほかのダイバー4名とガイドを含むスタッフ3名とともに朝早くダイビングショップ最寄り駅を出発。車で約3時間半の後、海に到着した。午前中はボートダイビングで最大水深18m、約45分間のダイビングを楽しんだ。約1時間半の水面休息をとり、2本目は再びボートでダイビング。ひととおり楽しんだ後、水深5m付近を安全停止しながら泳ぎ、安全停止の3分間が終わったので水面へ浮上。バディと手を繋いでボートに向かって水面を移動している最中、事故者の手が急に重くなり、確認すると、意識がなく、脈拍もほとんどなかった。事故者はスノーケルをくわえて泳いでいて、この時下顎が硬直しており、スノーケルがなかなか外せないほどだった。このためバディはガイドに救助を要請。駆けつけたガイドはすぐに事故者を曳行してボートに揚げ、心肺蘇生を実施。同時に救急車を呼び、駆け付けた救急隊に引き継がれ病院に搬送された。しかし、肺に水がたまっており、翌日死亡が確認された。

直接の原因溺水

対処法

事故者のご冥福をお祈りいたします。
ダイビング事故が起きる場所についてよくいわれていることなのだが、ダイビング事故は水中で起きるよりも水面や陸で起きることのほうが多い。過去の潜水事故の統計データによると8割以上が水面、陸上で起きているといわれる。この事故もまさしく水面での出来事だ。過去の事故例を見ると水面を泳いでいるときの事故もとても多い。なぜだろう?
今回の事例を見ると、バディと手をつないでいた事故者の手が“重くなっていった”とあるけれど、事故者は水面での浮力確保が足りていなかったことが考えられる。最も重要なのは水面では浮力を確保すること。そのためにはBCにエアを入れればいいだけのことなのだが、それが足りていなかったのではないだろうか。
波や風のある水面では実はとても泳ぎにくい。浮力を確保しようとBCをパンパンに膨らませると抵抗が起きてさらに泳ぎにくくなる。人によってはBCにエアを少なめに入れて、行き先が確保できるぐらいの浮力にし、レギュレーターをくわえて移動するようにしている人も少なくない。スノーケルを使うのは波や風のない、穏やかな状況の場合にするといいだろう。
この事例の時の海況はわかっていないが、手を繋いで移動したということは、泳ぐにはちょっと大変な海況だったか、事故者のダイビング経験が少なかったかだろう。いずれにしても、海況を見てスノーケル移動かレギュレーター移動かを考えられるだけの知識を身につけることが大切だ。
事故者がスノーケルをうまく使えなかったことも想定できる。発見されたときにマウスピースをかなり強くくわえていてなかなか外せなかったとのことだが、たぶん海水を飲まないようにしてがちがちにマウスピースをくわえていたのだろう。マウスピースはそんなに強くくわえるものではない。スノーケルの使い方に慣れておけば、命は防げたかもしれない。
また、疲労度はどうだったのだろう? 早朝出発で寝不足だったことも考えられる。さらに、2ダイブ後の疲れも考えられる。ダイビングは体力を必要としていないようで、意外とカロリー消費が高いといわれるぐらい、エネルギーを使う。元気なバディに手を繋いでもらい、追いつかなくてはと一生懸命水面移動したとしたら、焦って過呼吸になっていた可能性もある。それで力尽きてしまったのかもしれない。
まずダイビングの前には十分な睡眠をとることが大切。さらに、ダイバーはある程度の体力をつける。維持することも重要だ。また、水面移動のペースがハードだなと思ったら、自分のペースで泳げるよう、バディに伝えることも必要だ。
この事故から得た教訓をもとに、ぜひこれからのダイビングを楽しんで行っていただきたい。

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