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STOP! 潜水事故
CASE135 初ドライスーツで吹き上げ。帰宅時に半身麻痺に

CASE135 初ドライスーツで吹き上げ。帰宅時に半身麻痺に

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE135 初ドライスーツで吹き上げ。帰宅時に半身麻痺に

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

【事例】
事故者は冬の水温が低い海で仲間とダイビングをすることになり、ドライスーツをレンタル。初めてのドライだったため、仲間にドライスーツの使い方を簡単に説明された後にエントリーし、ダイビングを楽しんでいた。最大水深30m付近で生物を見たり水中写真を撮ったりした後、ゆっくりと浅場へ移動を開始したところ、事故者は水深20mで足が浮き逆さになったなと思った瞬間、急速に水面まで浮上。いわゆる「吹き上げ」を起こしてしまった。バディは事故者を抑えようとしたものの、つかみきれなかった。ゆっくりとバディが浮上し水面で事故者と再会。事故者は少し頭は痛いが、どこにも痛みはなく無事が確認された。ダイビング後はあったかい温泉に浸かり、宿泊予定だったので仲間同士でわいわいとお酒を飲み、翌日解散。事故者はひとりで運転して帰路についた。標高800m超の場所を通って帰る途中で、体の左側がまったく動かなくなり麻痺状態に。車を停め、救急車で再圧チャンバーのある病院に行けるよう依頼。病院に搬送された後、すぐに再圧チャンバーに入り治療したところ、すっかり元の状態になったが、医師からは減圧症に罹患したことを告げられ、半年はダイビングをしないよう告知を受けた。

直接の原因減圧症

対処法

ドライスーツ使用時の吹き上げが減圧症に罹患した一番の原因なのは明白。ダイビング中体内に溶け込んでいた窒素は急浮上により膨張したまま体内に残り、排出するにはかなり時間がかかることが予測される。
しかも、温泉に入って体を温めたことで血のめぐりがよくなり、血流中に溶け込んでいる膨張したままの窒素が体中に運ばれていってしまったのだろう。そして宴会でのお酒でもまた血流は促進されていく。
さらに、帰り道で標高800m越えをしてしまったことで体中をめぐっていた膨張した窒素はまた膨張することに。
減圧症まっしぐらだ。 事故者には気の毒だが、死に至らなかったのが不幸中の幸いである。 こうならないための防御策としては
1) ドライスーツを初めて利用する場合は、ちゃんとインストラクターのもとでドライスーツの使い方を教わりマスターすること
2) 万が一吹き上げを起こしそうになった時のための対処法を知ること
3) 万が一吹き上げを起こしてしまった後は、なるべく穏やかに過ごし、できるだけ温泉など温かいお湯に浸かるのは避ける。ぬるめのシャワーを浴びるぐらいにしておく
4) アフターダイビングではアルコール類などは避ける
5) ダイビング後の標高の高いところの移動は避ける のすべてを行い、安静にして過ごすこと。今回は帰宅中、運転しているときに発症したように、減圧症はダイビング終了後すぐに発症するものではない。
急浮上による空気塞栓症(エアエンボリズム)はすぐに発症し、死亡に至るケースもあるので、今回はそうならずに良かった。おそらく事故者は吹き上げに遭いながらも息は吐いていたのだろう。浮上時は息を吐く。これも大事なことだ。 なお、吹き上げそうになったときに、吹き上げを防ぐためのスキルをこちらの記事内で紹介している。とっさに行うのは難しいかもしれないが、かなり有効。
失敗から学ぶドライスーツ術
特に浮上していく際は、時々吹き上げを防ぐために上半身に空気を集めて排気しておくようにすれば、吹き上げは起こらない。ドライスーツ着用時のスキルも身につけておこう。 これからの季節、ドライスーツで潜るダイバーも多いと思う。くれぐれも安全第一でお楽しみください。

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