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STOP! 潜水事故
CASE45 ダイビング中、差し歯が抜けた!

CASE45 ダイビング中、差し歯が抜けた!

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE45 ダイビング中、差し歯が抜けた!

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

ある日、60代女性がファンダイブを楽しんでいたとき、
くしゃみをした途端、差し歯が抜け、レギュレーターがうまくくわえられなくなってしまった。
レギュレーターを手で押さえながら呼吸をしていたところ、
ガイドがそれに気づき、浮上するように指示。
ガイドとともに浮上を開始し、水深5mで5分間の安全停止をした後、海面に浮上。
ところが、水面に出た直後に呼吸困難に陥り、すぐさま船上に引き揚げられたが、
意識がなく、ガイドはすぐさまCPRを施しつつ、救急車を要請。
救急隊が駆け付け、病院に搬送。
診察した医師により、誤謬による肺水症と診断された。

直接の原因快適な呼吸の喪失

対処法

シニアダイバーの間で笑い話になることもある、入れ歯&差し歯バナシ。
若い人にも前歯などに差し歯をしている方も多いので、
60代だけでなく若い方にも起こり得る事故なのである。他人事ではないはず。

とはいえ・・・
まず防御としては、ダイビング中に入れ歯や差し歯がとれないように、
ダイビング直前に上からよ~く押さえておくこと。
普通は、モノを食べたりするためにもすぐに取れるようには作られていないはずなのだが、
毎朝装着する入れ歯の場合は、これが効果的なんじゃないだろうか。

また、ダイビングの後半に深い所から浅い所へ移動すると、
水圧がかからなくなるからだろうか、入れ歯、差し歯が取れやすい傾向になるようだ。
水深が浅くなったら、再び歯を押さえるようにして、安定させるという“スキル”も身に着けておくこと。

でも、差し歯も入れ歯も、取れる時は取れる。
だから、取れた時に困らないように、あらかじめシミュレーションをしておこう!

そのシミュレーションとは……

取れてしまったら、まずそれを取り出して飲み込まないようにする。
外れた歯を取り出す時にレギュレーターはどうしても外さなくてはならないので、
口をちゃんと閉めて呼吸をせずに、素早く対処。

外し終わったら、慌てずにレギュレーターを再びくわえ、レギュレータークリア。
このとき、多少というか、歯の位置によってはかなり違和感を覚えるかもしれないが、
とにかくマウスピースを残った歯でしっかりくわえる。
そして、呼吸を開始するのだが、
事故者は海水を飲み込んでしまったために意識喪失に至ってしまったようだが、
このように隙間から海水が入ってくる可能性もあるので、
一呼吸目は静かにゆっくりと息を吸うことがポイント。

もし海水が入ってくるようであれば、
それを飲み込まないようにしてレギュレーターをくわえたまま排水し(息を吐くだけ)、
次に息を吸うときは、舌を使って浸水を防ぐ、もしくはレギュレーターを手で押さえて浸水を防ぐ。

海水が入ってこないようであれば、
そのままダイビングを続けても問題はないが、
海水がどうしても入ってくるなら、ダイビングをその場で止めて浮上準備。

浮上は慌てないようにして、1分間18m、いや毎分9mを守って、安全に浮上。
5mで3分間の安全停止をしたほうがいいけれど、
水が入ってきてしまって、呼吸するのが大変であれば、安全停止は諦めてもいい。
とにかく、安全に浮上することが大切だ。

水面に上がったら、BCに空気を入れて、顔が水面に確実に出るようにし、
レギュレーターを外してスノーケルにくわえ直し、
安全な呼吸を確保するようにしよう。

ついでなら、取れた歯をしまっておけるケースをポケットに常時携行しておくと心強いかもしれない。
手にしていると、落としてしまいそうで、それが気になって別のトラブルが起きたときに気づかないかもしれないし、
BCのポケットに差し歯をポロッと入れてもなくなる可能性があるからだ。

また、落としてしまった差し歯や入れ歯を探さなくてはならない状況になったとしても、
まずは呼吸源(レギュレーター)のリカバリーをしっかり行なってからにすること。
探せるような水深ではない場合は、仕方ないが諦めよう。

ということで、やっぱり笑い事ではあるかもしれないが、
意外に切実な差し歯&入れ歯問題。事前に真剣にシミュレートしておこう。

ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??

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