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STOP! 潜水事故
CASE 96 バラバラにエントリーしてロスト
ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。
CASE 96 バラバラにエントリーしてロスト
今回の潜水事故の原因
- バディ不遵守
- 身体拘束
- 監視不十分
- 器具の不備・取り扱い不注意
- 体調の不注意
- 技量の未熟
- 気象・海象の不注意
- エア確認不注意
- その他
事故者はとある地域のダイビングサービスが開催しているボートダイビングに友人と参加。ガイドなし、バディ単位でダイビングをするスタイルで、エントリーしたところ事故者がウエイトを着用するのを忘れたことに気づき、先に友人に潜降しておいてもらうことにして、事故者はウエイトを取りに船上へ。そもそもウエイトベルトにウエイトを付けた状態にすらしていなかったため、そのセッティングをした後、ようやくウエイトを装着してエントリーした。おそらく友人が潜降してから5分ぐらいは経っていたものと思われる。
潜降した集合地点で友人はずっと待っていたが、5分以上経ってもなかなか事故者が潜ってこないため、ゆっくり浮上。船に上がったがなかなか事故者が浮上してこないため、再び潜って周辺を探したものの発見できず、船に戻ってキャプテンに海上保安庁に連絡してもらった。
一方、事故者は潜降したものの先に潜っていた友人と合流できなかったため、海中で付近を捜索した後海面に浮上したが、浮上位置がボートからかなり離れていて、さらに強風と潮流によりボートからどんどん遠ざかっていった。
海上保安庁の要請で出動したヘリコプターが現場を捜索したところ、船から約3km離れた辺りの海上でセーフティブイを上げている事故者を発見。捜索中だったダイビングボートが事故者を揚収、救助したもの。生命に別状はなかったため、医療機関に搬送されることなく、ボートに乗り帰還した。
直接の原因漂流
対処法
起こるべくして起きた事故ともいえる。
ポイントは2点。
まず事故者がウエイトをし忘れていたことに関して。
本人が忘れていても、エントリー前にバディ同士でチェックをすることを怠らなければその時点でウエイトをしていないことに気づくはずだ。
次に友人を先に潜降させたこと。
水中での行動は二人1組のバディ単位ですることが基本中の基本。
今回の事故はこの部分がないがしろにされてしまっている。
2点とも、ほんのちょっとした気のゆるみや油断ではあるが、これをないがしろにすると、とんでもないことが起こりかねない。教訓として心に刻みたいことだ。
少し細かく見ていくと……
1)バディチェック(プレダイブ・セーフティ・チェック)
人間だもの。忘れることはある。それは仕方ない。
よく至れり尽くせりで何でもやってくれるダイビングサービスにお世話になっていると、ウエイトも「何kg必要ですか?」と聞かれ「何kg」と答えた時点で、ウエイトベルトに希望のウエイト玉を付けて用意してくれるのが当たり前になっていたりする。でも、基本は自分でウエイトもセッティングするくせを付けておくこと。また用意されたとしても、ウエスト周りのちょうどいい位置にウエイト玉が来るようにあらかじめ調節しておくことが大事。ダイビングの準備が始まったら、すぐにウエイトベルトを装着できるようにしておこうというわけだ。
さらに、水中で必要なモノを忘れないよう、バディとともに装着器材のチェックをすること。
ここを飛ばしてはいけない。キーワードは「BWRAF」。
B=BC
W=Weight(ウエイト)
R=Release(リリース類。つまりリリース類=ベルトやストラップ、ファスナーなどがちゃんとしまっているか)
A=Air(空気)
F=Final Check
を表しており、この順番にバディとチェックしていこうというもの。
ダイビング指導団体のPADIではバディチェックのことを「プレダイブ・セーフティ・チェック」といい、「BWRAF」の覚え方は、Begin With Review And Friendというフレーズで覚えるといいとされている。
覚えにくいので、自分なりの覚え方を身につけたいもの。
いずれにしても、声を出しながらバディとともにチェックして、忘れ物はないか、しっかり装着しているか、バルブは開いているかなどを確認していこう。
2)バディダイビング
実際のところ、「あ、忘れた! 先に潜ってて。すぐ追いかけるから」ということは慣れてくるとやってしまいがちだ。で、慌てて追いかけて入ったつもりが、ボートがアンカーロープを支点に90度ぐらい動いていて、アンカーロープをたどっていけば会えるものを、慌てているものだからまっすぐ潜降していってしまって、海中でまったく会えない……な~んてこともなくはない。
そもそもバディダイビングが基本なのだから、潜降の時点で「先に行ってて」はあってはならないこと。
バディには海面という視界のいい場所で待ってもらって、そこで再集合して一緒に潜降する。これが基本だ。
今回の事故は無事発見されて助かり、医療機関に搬送されるに至らなかったものの、焦るばかりパニックになりもっと悪い状態になってしまうことも考えられる。くれぐれも基本を逸脱せず、しっかり守って、安全なダイビングを!
ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
また、ダイビングは海という大自然と向き合います。
だからこそ、「水中で体験した感動は忘れられない!」、「人生を変えるほどダイビングは素晴らしい!」と感じるダイバーが多いのも事実です。
しかし、自然が相手のスクーバダイビングですから、100%安全なんてことはありません。万が一のときあなたはどうしますか?
そんな時、DAN JAPANがあなたをサポートします。
DAN JAPAN
一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
TEL:045-228-3066
FAX:045-228-3063
Email: info@danjapan.gr.jp
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