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STOP! 潜水事故
CASE122 残圧確認がいい加減でエア切れ

CASE122 残圧確認がいい加減でエア切れ

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE122 残圧確認がいい加減でエア切れ

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

【事例】
事故者はビーチエントリーでインストラクター1名、ほかのダイバー3名とともにビーチエントリーでダイビングを実施した。開始前にインストラクターが残圧確認を行ったところ、全員約150気圧のエアがあった。エントリー後20分経った時にインストラクターがホワイトボードに「残圧は大丈夫か?」と各ダイバーに聞いたところ、事故者は残圧計を確認することなくハンドシグナルでOKサインを出し、大丈夫と答えた。しかし、それから3分ほどして事故者は急に息苦しさを覚え、残圧計を見たところ針はゼロを指していた。完全に慌てて事故者は急浮上し始めた。インストラクターがその様子を見てすぐに事故者のもとへ行き、オクトパスでエアを与えつつ浮上。事故者の息苦しさが消えなかったために救急搬送され、医師による診察を受けたところ、軽い肺水腫を診断された。

直接の原因エア切れ

対処法

事故者は軽い肺水腫と診断され、生存していたということで、詳しい話も聞けて何よりではあったが、この事故、問題点は大きく3つある。

1つは事故者が残圧を確認していなかったこと。大問題だ。ましてやインストラクターに聞かれてもなお残圧計を見ることなく「大丈夫」と答えているのもあり得ない。

2つ目の問題点は、最初に用意されているタンクの気圧が150bar(kg/cm2)というのは少ない気もしますが、希にそれを基準にしているダイビングエリア、ダイビングショップはあります。ただ、インストラクターが事故者のエア消費量がとても速いことを知っているのであれば、そのタンクを使っても良かったのか? 水深・潜水時間の計画に問題はなかったのか? 仮に事故者と潜るのが初めてだったとしても、やはり最初に入っている空気量が150barなのであれば、潜水計画をもう少し慎重に考える必要があったのではないか?

3つ目の問題点は、インストラクターの残圧確認の方法。

筆者はこういう聞き方をするインストラクターやガイドを見たことがないのだが、インストラクターやガイドが各ダイバーに残圧を確認する場合、大丈夫か?ではなくて数値で確認をするのが一般的だ。たいていインストラクターらは残圧計を左手でかざし、右手でそれを指して、各ダイバーに残圧がどれだけ残っているかを尋ねる。聞かれたダイバーはハンドシグナルで、片手または両手で残圧計に記された数値を示す。100気圧残っていたら片手で「1」を出し、その後に「0」を意味する“グー”(指を全部折った状態)を2回示す。70気圧なら両手で7をつくり、その後にグーを1回示せばいい。聞かれたインストラクターらに見えやすいように数字のサインを送るのが常識だ。


ということで、この事故はインストラクターの質問のしかたもとても問題というわけだ。

だが、水中で呼吸のできないダイバーにとって、タンクの中のエア(エンリッチド・エア・ナイトロックスなどのミックスガスも同様)の残量は命と同じぐらい大事なもの。インストラクターに尋ねられるより前に確認しておかなければならない。ダイビング中ずっと見ているわけにはいかないけれど、こまめに確認すべきものだ。しかも、インストラクターが尋ねてきた時にすら残圧計を確認しないとは言語道断。インストラクターに聞かれる直前に残圧を確認していたなら、尋ねられた時に残圧計を見ないというなら話はわかる。そうでないなら、確実にその場で確認すべきだ。

また、ダイビングを開始する前に、普通ならインストラクターやガイドは「残圧が100になったら私に知らせてください。また、70になったら必ず教えてください。浮上を開始します」といった具合に、数値は70、50などと変わることはあるかもしれないが、お知らせがあるはずだ。この事故でインストラクターがそのことを説明していたかはとても疑わしいけれど、もしもダイビング前のブリーフィングで説明がなかった場合は、自分から尋ねるぐらいの安全対策を自分で立てておきたい。

なお、ベテランダイバーになってくると自分のエアの減り方などがわかっているといわんばかりに確認しなくなる傾向もあるようだが、流れや体調などコンディションによってエアの消費量はさまざま。ベテランダイバーの皆さまも残圧には十分気をつけてくださいね。


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