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STOP! 潜水事故
CASE124 オクトパスブリージングでパニックに
ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。
CASE124 オクトパスブリージングでパニックに
今回の潜水事故の原因
- バディ不遵守
- 身体拘束
- 監視不十分
- 器具の不備・取り扱い不注意
- 体調の不注意
- 技量の未熟
- 気象・海象の不注意
- エア確認不注意
- その他
【事例】
オープンウォーターダイビング講習の海洋実習の初日。事故者は1本目の講習を終え、水面休息を1時間ほどした後に2本目の講習のためビーチエントリーを開始した。水深5mの海底で、エア切れ対処のためのオクトパスブリージング(バックアップ空気源の使用)のスキルを実施中、事故者がオクトパスを吐き出したため、インストラクターが吐き出したオクトパスを事故者の口に入れ、目を見ながらOKかどうかをハンドシグナルで尋ねた。事故者が自分でOKサインを出したので、一度水面へ上がろうと事故者にサインを出して一緒にゆっくり浮上した。水面に上がったところ、事故者が浮力確保できず嘔吐し、呼吸苦を訴えたため、インストラクターが事故者の浮力を確保しながら水面搬送。監視中のダイビングサービススタッフに119番通報を依頼し、浮上後、事故者を病院へ搬送した。検査の結果、海水誤嚥による肺水腫と診断され1週間入院した。事故者によると、レギュレーターを口から離した瞬間、不安がこみ上げパニックに陥ったとのこと。
直接の原因溺水
対処法
講習中の事故は常識的に考えてあってはならないことだ。まず担当のインストラクターが全責任をもって講習を担当している以上、事故を起こさないために全力を注がなくてはならない。一方、これからダイビングを楽しんでいくのであれば、講習生は講習中に教わることを「すべて身につける!」という意識を持ってほしい。なぜならダイビングの講習は決して難しいことではなく、誰もが簡単にできることだが、そのほとんどが自分の命を守るための、トラブルを防ぐためのスキルばかりだからだ。今回はエア切れになったことを想定して、バックアップ空気源をもらう練習をすることが目的。
トラブルを回避するためのスキルは基本スキルを学んだ後に行う順番になっているはずなので、事故者がここに至るまでには「レギュレータークリア」そして「レギュレーターリカバリー」のスキルを習得しているはず。これらのスキルを学ぶ際にもレギュレーターを外す練習はしていることになる。
その練習がうまくいかなかったので、事故者はレギュレーターを外すことが不安だったのだとしたら、不安だったことをインストラクターに相談すべきだったし、インストラクターも1本目の海洋実習の後に不安だったことを講習生(事故者)の口から聞いていてもよかったのではないか。もしくはしぐさや表情からくみ取るか。
普通のファンダイブではダイビングをする前に「ブリーフィング」と呼ばれる事前説明がある。ダイビング講習でもこれから行う実習について、どんなことをするか、その目的は何かなどの説明、つまりブリーフィングがある。それをしっかり聞いておけば、その時点で不安を口にすることができたのではないだろうか。また、これはダイビング事業者への提案になるが、講習後は特に「デブリーフィング」を行うことも必要ではないだろうか。普段と違う水中世界は、講習生にとってはとても楽しいだけでなく、逆に精神的に大きなストレスにもなり得るので、プール講習や海洋実習で1ダイブ終えた後にデブリーフィングをすぐに行うことで、事故やトラブルを回避できる可能性は大だと思う。常にそれをやっている意識の高いインストラクターもいそうだが、すべてにおいて習慣づけてもいいのでは。
さて本題に戻って、これから講習を受ける方々や、レギュレーターリカバリーが不得手なビギナーダイバーのためにも具体的な対応策も考えておこう。
事例をまとめると「事故者がレギュレーターを外し、オクトパスをくわえたところ誤嚥しパニックになり、ゆっくり浮上するも浮力が確保できず、溺水した」ことになる。
水中で万が一エア切れになったら、バディやインストラクターからバックアップ空気源をもらって呼吸を確保することになるので、一人前のダイバーになるにはオクトパスをもらって呼吸ができるようになっておく必要がある。オクトパスのつくりはレギュレーターのセカンドステージと基本的には同じなので、くわえたら一度息を吐いて、ケース内にたまっているかもしれない水を吐き出すだけ。パージボタンを押しながら息を吐けば、排出効率はもっと良くなる。あとはゆっくり吸って吐いてと、普通に呼吸をしながら浮上態勢に入って速度に気をつけながら浮上していけばよい(ダイビングを続けるのはNG)。難しくはないでしょう?
事故者は水を間違えで飲んでしまった時点でパニックになったようで、OKではないのにOKを出したことも問題。引率者としてはOKが出ていたからとそのまま浮上せずにダイビングを続行してしまい、結局事故者が急浮上してしまうという事故も実際に起きている。この事例ではすぐに浮上態勢に入れたことで、事故者も命を落とさずに済んだのだと思う。
ダイビング中、海水を飲んでしまうことは良くないことだが、たとえ飲んでしまっても慌てずにオクトパスなりレギュレーターなりをくわえ直して、排水してから、呼吸を開始すればいいだけ。慌てることはない。ましてやパニックになることもない。落ち着こう。
ダイビング講習で身につけるべきスキルは決して難しいことではない。ただし、一つ一つが自分の命を守る安全につながっていることを認識していただき、一つ一つを確実に身につけていってほしい。講習時間が短くて安いほど良いと考える人もいるようだが、時間が短すぎてスキルが身につかないのでは自分の命を縮めるだけだと思って、スクール選びをしてほしい。
ダイビングは安全が一番。でも100%はあり得ません。
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ライター/後藤ゆかり(マリンダイビングWeb)
【公式】125万人ユーザーマリンダイビングWEB
ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
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ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
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だからこそ、「水中で体験した感動は忘れられない!」、「人生を変えるほどダイビングは素晴らしい!」と感じるダイバーが多いのも事実です。
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DAN JAPAN
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