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STOP! 潜水事故
CASE138 パニックで急浮上

CASE138 パニックで急浮上

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE138 パニックで急浮上

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

【事例】
事故者はドリフトダイブを行うため、初対面のダイバーとバディとなり、ボートでダイビングスポットへ。エントリー直後、水深2~3m付近でガイドが事故者たちの耳ぬきに異常がないことを確認。引き続き潜降を続けた。エントリーして1分後、水深約10m付近を潜降中にガイドが事故者を見た際、口からレギュレーターが外れた状態で急浮上している事故者を発見した。事故者が急浮上するのを阻止しようとガイドが追いかけたが、事故者はこれを振り切り海面まで浮上した。ガイドが追い着いて浮上者を見ると、事故者は口から泡を吹いて嘔吐していた。ダイビングボートに事故者を引き上げたが、意識不明で心肺停止状態であった。心肺蘇生を実施しつつ港から病院に搬送されたが、同日死亡が確認された。

直接の原因エアエンボリズム

対処法

息を止めてはいけない。
オープンウォーター講習の時に必ず教わる、浮上時のとても重要な決まり事で、ダイバーなら必ず覚えておかなければならないことだ。

事故者が亡くなってしまったので、なぜレギュレーターを口から外したのか、なぜ急浮上したのか、は不明。でも、過去に同じことをやって、ガイドやバディに引き留められ、命を落とさずに済んだダイバーの経験を聞くと、「息ができなくて苦しくなった」「えもいわれぬ不安にかられた」「パニックになった」といった話が多い。「シリンダーのバルブを半開きにしていたためにエアが来なくなった」という例もある。 今回の事故者もいずれかにあたるのだろう。
「息ができない」と感じるダイバーの多くは、息をしっかり吐いていないために、息が吸えなくなっていることがほとんど。水中にいると、息を吸いたくなりがちだが、息を吐くことも大切。息ができないと感じたら、まず息を吐いてみる。胸から空気を絞り出す感じで吐いてみる。すると次は息がよく吸えるようになる。
このことを、緊急時に思い出せればもう大丈夫だ。

「えもいわれぬ不安にかられる」場合は、過呼吸やパニックの前兆となりやすい。思い出してほしいのがStop、Breath、Think(またはAct)のSBT(またはSBA)の3ステップ。具体的にはまずは不安をなくすためにもどこか岩場などにつかまるか、バディやインストラクター、ガイドにつかまって、身体を安定させる。次に何回か大きく呼吸して呼吸を整える。深呼吸ほどじゃなくていいのだが、息を吐いて、吸ってを大きく行うこと。そして次のことを考える、または行動を再び開始する。

それでも不安が収まらない場合は、急浮上をするのではなくて、ガイドやバディに知らせてゆっくりと浮上すること。

「パニック」になった場合も同じ。パニックになりそうと思った場合も同様に、SBTSBA)の3ステップで乗り越えよう。呼吸を落ち着かせることが大事だ。

今回のように急浮上する場合、息を止めたままだと事故者のようにエアエンボリズム(空気塞栓症)といって、肺の過膨張を引き起こし、ひどい場合は肺の破裂を起こしたりする。どうしても急浮上が必要な場合は、息を吐き続けて、肺の空気が膨張しないように予防しなくてはならない。「あー」と声を出しながらでもいい。水面まで頑張って息を吐き続けよう。

でもまずは急浮上しないように、その前段階でやれることをやるのが大事だが。

ダイビング事故で命を落とさないように、周りの人々を悲しませないように、安全に潜るためのトラブル対処法を身につけておこう。



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