- ホーム
- 安全ダイビング
- STOP! 潜水事故
- CASE65 スノーケリングで溺死
STOP! 潜水事故
CASE65 スノーケリングで溺死
ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。
CASE65 スノーケリングで溺死
今回の潜水事故の原因
- バディ不遵守
- 身体拘束
- 監視不十分
- 器具の不備・取り扱い不注意
- 体調の不注意
- 技量の未熟
- 気象・海象の不注意
- エア確認不注意
- その他
今回のテーマは先月告知したものとは異なることをお詫び申し上げます。
というのも、この夏、日本が高温だったこともあり、海へ行く人も非常に多かったのだろうが、スノーケリング(シュノーケリングと一般的には呼ぶ人が多いが)の事故が異常に目立った。
まだ暑い夏は続きそうなので、注意喚起の意味を含めて今回はスノーケリングで溺水した事例を紹介。
ある夏、南の島の海岸でスノーケリングをしていて遊んでいた、東京から家族で観光で遊びに来ていた小学生が水深約2mの海中に仰向けに沈んでいるのを父親が発見。すぐに引き揚げ、家族や近くにいた人が心肺蘇生をしながら、救急隊に引き継ぎ、病院に搬送された。
直接の原因溺れ
対処法
統計によると、遊泳中(スノーケルなどを付けない)の事故の約6割が溺水なのに対し、スノーケリング中の事故は約8割が溺水だという。しかも、スノーケリングでは死者・行方不明者を伴う事故が6割以上と高い。
この数字だけ見ると、スノーケリングは海遊びの中ではかなり危険ということになるが、ダイビングでも同じことがいえるように、スノーケリング中でも“ルール”を守れば誰もが手軽に安全に楽しめるものであるのも事実。
実際、ルールは日本全体としては具体的に確立されていないが、例えば沖縄県では、沖縄県警の下、水上安全条例という条例がある。そこではスノーケリングの場合はライフジャケット等の浮力体を着用することと挙げられている。実際、水上安全条例を順守しているマリンサービス(ダイビングサービスを含む)では、ライフジャケットの貸し出しをしてスノーケリングツアーやコースを開催している。
スノーケリングは自己流でいくらでも楽しめるものだが、最初はこうしたマリンサービスなどでライフジャケットを着用して、スノーケリングのノウハウを学ぶというのも、大事なことといえる。
海上保安庁がホームページで発表している「シュノーケリング安全対策5箇条」を紹介すると、
1)浮力の確保
2)単独で泳がない
3)自己流は危険
4)飲酒・体調不良は事故のもと
5)泳ぐ場所の確認
と、ダイビングと同じような安全対策が推奨されている。
1の浮力確保は、先のライフジャケットを着用することのほかに、ウエットスーツも非常に浮力があるので有効だ。
2は、ダイビングでいうバディシステムの確立。スノーケリングでも一人で泳いでいるうちに、水を飲んでしまってパニックになることがあるかもしれない。万が一、そんな場合も近くにバディがいれば、溺れないように声をかけてあげたり、万が一意識不明になってもすぐに助けてあげることができるかもしれない。
3は、スノーケリングの基本を覚えておく必要があるということ。最近はスノーケリング講習を開催しているダイビングサービスやマリンサービスが多いので、最初は基本を教わることも大事だと思う。
スノーケルを通しての正しい呼吸、マスククリアの仕方など、基本はそんなに難しいことではない。けれど、危なくなったときの対処法まで教われば、自分たちでスノーケリングを楽しむときにも心強いはずだ。
4は、ダイビングでも同様なのだが、飲酒後のスノーケリングは急に冷たい水に入って心筋梗塞になったり、脱水症状になっていて体調を崩したりしかねない。前日の夜、飲み過ぎた状態でのスノーケリングも同様だ。体調万全な状態でスノーケリングに臨みたい。
5は、リーフカレントが発生しやすく、出て行ったはいいものの、なかなか帰って来られなくなり、流されてしまうという事故が多いことから。波が高いところでは呼吸がしにくくなるので、低気圧や台風のときは、スノーケリングを諦めることも大切だ。
ちなみに、スノーケリング時の道具だが、マスク、スノーケル、フィン、ライフジャケットの4点セットが必要。
さらに、長時間水面に浮かんでいるとかなり日焼けするので、ウエットスーツを着用するか、もしくはUVカット機能のあるラッシュガードなどを身に着けて、泳ぐようにしよう。
また、スノーケリングをしていると、時々スノーケルの先端から水が入ってくることがある。
そんな場合は、しっかりとスノーケルクリアをすること。
スノーケルクリアがうまくいかず、水を飲み込みそうになっても、水を飲んではダメ。スノーケリングをそこでお休みして、顔を確実に水面に出した状態で(結構立ち泳ぎが大変な場合もあるが、頑張って!)、くわえているスノーケルを外して呼吸を。空気を吸って落ち着いた段階で改めてスノーケルをくわえて、スノーケルクリアに再トライ。こうすれば、水を飲むこともなく、溺水に至ることは避けられるはずだ。
立ち泳ぎが大変な場合は、くるりと仰向けになって、顔が水面につからないようにして、スノーケルを外し、呼吸し直すという手もある。
いずれにしても、スノーケリング中は入ってきた水は飲まない!と心に誓って、対処していただきたい。
ダイビングの休憩時間にスノーケリングをしたいという方も気をつけてくださいね!
ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
また、ダイビングは海という大自然と向き合います。
だからこそ、「水中で体験した感動は忘れられない!」、「人生を変えるほどダイビングは素晴らしい!」と感じるダイバーが多いのも事実です。
しかし、自然が相手のスクーバダイビングですから、100%安全なんてことはありません。万が一のときあなたはどうしますか?
そんな時、DAN JAPANがあなたをサポートします。
DAN JAPAN
一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
TEL:045-228-3066
FAX:045-228-3063
Email: info@danjapan.gr.jp
https://www.danjapan.gr.jp/
〒231-0005
神奈川県横浜市中区本町4-43
A-PLACE馬車道9階
バックナンバー
- CASE134 ダイビング事故の多くは水面で起きる
- CASE133 ダイビング中、耳元で何かが炸裂!
- CASE132 ボートダイビングでラダーに指を挟み大けが
- CASE131 アンカーが外れ漂流。そして行方不明に
- CASE130 他のダイバーと接触しレギュが外れてパニックに
- CASE129 水深40m超でパニック
- CASE128 振り向いたらバディがレギュを外して暴れていた
- CASE127 インフレーターが外れてパニックに
- CASE126 バディを見失いパニックに
- CASE125 二日酔いで潜ってケガ
- CASE124 オクトパスブリージングでパニックに
- CASE123 仲間とはぐれ陸で倒れていた
- CASE122 残圧確認がいい加減でエア切れ
- CASE121 ウエイト調整ができずに急浮上
- CASE120 スノーケリング中に海水を飲んで意識不明
- CASE119 【考察】ドリフトダイビングの危機対処法
- CASE118 初心者が緊張と疲労で過呼吸に
- CASE117 勝手に浮上して漂流
- CASE116 緊張すると口がこわばる癖から海水誤飲で意識不明
- CASE115 ダイビング器材の不具合が原因で溺水!?
- CASE114 セルフダイビングではぐれ…。くも膜下出血で帰らぬ人に
- CASE113 岩をつかみそこねて流される
- CASE112 トラブル続出で溺れる
- CASE111 ブイのロープに急変! そのとき
- CASE110 リーフカレントにはまり漂流
- CASE109 突然レギュレーターを外してパニックに
- CASE108 60代男性ダイバーがダイビング中に体調不良に
- CASE107 ディープダイビングで減圧症の疑い
- CASE106 大物出現!で猛ダッシュするも取り残されてパニックに
- CASE105 ダイビング中、息苦しくなり意識朦朧に
- CASE104 講習中に海水を誤飲
- CASE103 ディープ潜水で減圧症に
- CASE102 ボートと接触
- CASE101 フィンを履く時に転倒して溺水
- CASE100 エア切れで定置網に絡まる
- CASE 99 レギュ故障で緊急浮上するも
- CASE 98 エントリー後行方不明に
- CASE 97 繁忙期のダイビングでパニック
- CASE 96 バラバラにエントリーしてロスト
- CASE 95 アドバンス講習中に急浮上
- CASE 94 冬の海で体調異変
- CASE 93 短すぎる水面休息で減圧症
- CASE 92 顔色が悪かったのにダイビングを開始
- CASE91 浮上後、大波でパニックに
- CASE90 あっという間にエアを消費して…
- CASE89 久しぶりで緊張のあまり…
- CASE88 ダイビングボートが座礁
- CASE87 タンクのバルブの戻し過ぎ
- CASE86 うねりで顔面強打
- CASE85 水深28mでの水中撮影後、減圧症に
- CASE84 冷水海でフリーフローが仇となり…
- CASE83 空気がBCに入らず溺水
- CASE82 無理矢理ダイビングをして漂流
- CASE81 冬の海で意識不明に
- CASE80 ダイビング後、頭痛が止まらない
- CASE79 レギュが外れ、パニック!
- CASE78 水面移動が危ない!
- CASE77 体験ダイビングで絶対してはならないこと
- CASE76 透視度3mでバディとはぐれ、漂流
- CASE75 偽ダイバーのダイビング事故
- CASE74 指示を守らず漂流
- CASE73 潜水後ろれつが回らない
- CASE72 洞窟で迷子に
- CASE71 浮上中、異常行動
- CASE70 ツアーダイブで単独行動
- CASE69 乗っていたボートが転覆
- CASE68 助けてくれたバディが事故に
- CASE67 朝まで飲んで潜ったら
- CASE66 水中で大笑いしたら、海水が!
- CASE65 スノーケリングで溺死
- CASE64 オーバーウエイトと過呼吸でパニックに
- CASE63 母子ダイビングでロスト
- CASE62 ボートのへりから落下
- CASE61 ドライパニック
- CASE60 生活習慣病てんこもりの人が20年ぶりに潜ったら……
- CASE59 突然のめまい
- CASE58 マスク脱着訓練中に急浮上
- CASE57 潜水中にスノーケルをくわえ…
- CASE56 魔のトリプルトラブル
- CASE55 浮上後、レギュを外したダイバーに危機が
- CASE54 セルフダイブで別行動の末……
- CASE53 エグジットの際、うねりで骨折
- CASE52 突然姿を消したダイバーが水中で倒れていた!
- CASE51 大量のエアを吐き体調不良に
- CASE50 病後のダイビングで潜水病に
- CASE49 リーフカレントで戻れず漂流
- CASE48 ウエイトを1kg外したら…
- CASE47 フィンが外れて焦ったあまり…
- CASE46 エンジンがかかっているボートに接触
- CASE45 ダイビング中、差し歯が抜けた!
- CASE44 ダイビング中、呼吸困難
- CASE43 うねりで顔面強打
- CASE42 浮上後、意識朦朧に
- CASE41 タンクのバルブ開け忘れ
- CASE40 潜降中に行方不明
- CASE39 咳き込んで海水を飲み、パニックに
- CASE38 ダイビング中、低体温症に
- CASE37 カメラが岩に挟まってエア切れに
- CASE36 ダイビング中に天候急変、浮上後流される
- CASE35 フリーフローと溺れ
- CASE34 1月の海で減圧症
- CASE33 撮影に夢中になりエア切れ
- CASE32 エアの早い友人を先に上げてダイビングを続行し、漂流
- CASE31 ドライスーツ着用でパニックに
- CASE30 フィッシュウオッチング中にパニックに
- CASE29 ダイビング中に気分が悪くなり病院搬送
- CASE28 エア切れで漂流
- CASE27 海洋実習中、海水を飲み込み、死亡
- CASE26 BCに空気が入らずパニックに!
- CASE25 6月、北の海で70代女性が意識不明に
- CASE24 マスクに海水が浸入して大パニック!
- CASE23 水深40mを潜り、減圧症の疑い
- CASE22 BCに空気が入りっぱなしになり急浮上
- CASE21 浮上したら係留していた船がいない!
- CASE20 水深35mでパニックに
- CASE19 残圧がなくなり一人で浮上し、死亡
- CASE18 ナイトダイビングで帰らぬ人に
- CASE17 フリーフローでエア切れに
- CASE16 レギュレータークリアに失敗して・・・
- CASE15 ロープ潜降で1人行方不明に
- CASE14 初めてのダイビングでパニック
- CASE13 一人セルフで帰らぬ人に
- CASE12 ボートダイビングで移動中に骨折
- CASE11 ダウンカレントにつかまり気づけば-40m超
- CASE10 エアがない!→パニックに
- CASE9 ダイビング中に心停止
- CASE8 海中で咳込んでパニック→急浮上
- CASE7 浮上後、体が痺れて目の前が真っ暗に
- CASE6 ボートから逆方向に流され13時間漂流
- CASE5 エアがなくなったダイバーに突然オクトを奪われパニック
- CASE4 水中で迷子になり、死亡
- CASE3 持病を隠して潜水中、突然の体調不良で失神
- CASE2 マスククリアができずパニック!
- CASE1 ダイビング中に息苦しくなり意識不明に