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STOP! 潜水事故
CASE71 浮上中、異常行動

CASE71 浮上中、異常行動

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE71 浮上中、異常行動

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

事故者は奥さんと一緒にインストラクターとともにボートダイビングを開始。
水深18mの海底で確認を行ったところ、事故者が体調不良の意思を示したため、インストラクター、奥さんとともに浮上を開始した。
水深8mのところで、事故者が自身のレギュレーターを外し、スノーケルをくわえ直すなどの異常行動をとったため、インストラクターが近づいてレギュレーターをくわえさせた。しかし水深5m付近でぐったりとなってしまい、船上に揚げたものの心肺は停止。
病院に搬送後、死亡が確認された。
医師の所見では、心筋梗塞の疑いがあるが、CTにより脳に気泡を認めたことから潜水病の可能性もあるとのことだった。

直接の原因体調急変、パニック、潜水病?

対処法

奥さんや目の前で助けられなかったインストラクターの胸中を察するに、とても悲しい事故である。

もしこの事故で事故者を救えることがあったとするならば、
1)事故者本人がレギュレーターをくわえ続けて浮上
2)船に揚収後の救命処置
の2点を行えたかどうか、ではないだろうか。

まず、この連載で何度も言うように、
万が一何かが起きても、呼吸源であるレギュレーターを絶対に外してはいけない
という点。
事故者は浮上中におそらくパニックに陥ったのではないか。
パニックに陥ると心拍数が高まり、過呼吸になることが医学的に指摘されているのだが、
事故者もパニックになり、過呼吸で呼吸が苦しくなり、レギュレーターからの空気では苦しくてたまらなくなりスノーケルをくわえたのではないかと察せられる。
これは、パニックに陥る人によくあること。
でも、スノーケルをくわえたところで空気がくるはずはなく、水(ここでは海水)を飲み込んでしまい、溺水に至る。

助かるためには、たとえ苦しくてもレギュレーターを外さずにちゃんと呼吸を続けることが大切。
その前に、まずい! 何かがおかしい!!と思ったら、その場に立ち止まり(動かないようにして)、息を吐いて、また息を吸ってと、呼吸をゆっくり繰り返す。
たいていの場合、呼吸をしようとして息を吸うことに集中して、しっかり息を吐けていないために過呼吸に陥ることが多いから、とにかく息を吐くこと。そして吸って、吐く、という普通の呼吸を何回か、ゆっくりと繰り返すことが大切だ。

今回の事故者もこれができれば命はつながった可能性はなくはないのでは。
ただ、水中で起きた心筋梗塞が引き金になったのであれば、諦めるしかないけれど。

あと、事故の概要ではわからなかったのだが、
船に揚収した後のインストラクターやスタッフの処置も気になる点。
ちゃんとCPRはできていたか? 船に酸素キットが搭載されていたか?

心肺停止になった人でも救命処置(特に胸骨圧迫や人工呼吸)がしっかりできていれば、助かる可能性はある。
また、呼吸が再び始まったときに酸素を供給することで心肺停止になった際に酸素を体に取り入れることはできる。

この連載を読んでいただいている皆さまには、ダイビングサービスを選択する際には
船にそうした救命キットや酸素供給の設備が必ず搭載している店を選ぶようにしていただきたい。

安全に楽しく潜るためにも、自分の体調管理はもちろん、そうした店選びにも注意深くなりたい。

ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??

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ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
また、ダイビングは海という大自然と向き合います。
だからこそ、「水中で体験した感動は忘れられない!」、「人生を変えるほどダイビングは素晴らしい!」と感じるダイバーが多いのも事実です。
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