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STOP! 潜水事故
CASE85 水深28mでの水中撮影後、減圧症に

CASE85 水深28mでの水中撮影後、減圧症に

ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。

CASE85 水深28mでの水中撮影後、減圧症に

今回の潜水事故の原因

  • バディ不遵守
  • 身体拘束
  • 監視不十分
  • 器具の不備・取り扱い不注意
  • 体調の不注意
  • 技量の未熟
  • 気象・海象の不注意
  • エア確認不注意
  • その他

事故者は中高年世代のフォト派ダイバーで、バディの奥さんほかダイバー6名とダイビングサービスのボートダイビングに参加。最大水深30mを午前中に2ダイブした後、午後、再びダイビングを開始した。最大水深28mの被写体を撮影した後、徐々に水深を上げながら浮上中、ダイビング開始20分が経った頃に奥さんが事故者の異常な様子に気づいてインストラクターに伝えた。インストラクターが事故者に近づいて確認したところ、目線が合わず意識朦朧としていたため、すぐさま浮上を開始。船上に引き揚げた。
最初、事故者は呼吸をしていたが、船上に引き揚げてからすぐに呼吸困難に陥ったため、人工呼吸をしながら帰港。途中呼んでおいた救急車から病院に搬送された。急性減圧症脳脊髄型と診断され、再圧治療を実施。その後、ダイビングがわかる医師のもとへ行き、減圧症Ⅱ型とのこと。
命に別状はなかったが、しばらく手足のしびれが続き、3カ月ほどしてしびれは解消した。

直接の原因減圧症

対処法

ダイブコンピュータが許す範囲で潜っていたとしても、午前2ダイブとも最大水深が30mで、しかも3本目も28m。深すぎる。
おそらく水面休息時間がギリギリ、ダイブコンピュータの無減圧潜水時間(NDL、減圧不要限界)もギリギリだったか、もしかしたら減圧停止も1本目、2本目から出ていたのではないだろうか。
たまに勘違いをしているダイバーがいるのだが、減圧停止指示が出ても、それがちゃんと消えて(減圧停止をして)上がってくればいいと思ってはいなかっただろうか。
もちろん、減圧停止指示が出たら絶対に減圧停止をしなければならないのは確かではあるが、「減圧停止を出していい」というわけではない。無減圧潜水時間をキープして、ゼロをまたがないことが大切なのだ。無減圧潜水時間以内で潜れないということは、減圧症にかかるリスクがとても大きくなることを意味する。また、ダイブコンピュータどおりに潜っていても、体内の窒素量が飽和するのは個人差もあって、残念ながら減圧症にかかる人がいることも知られている。
だから、「無減圧潜水時間には余裕をもって潜る」ことが推奨されているわけだ。
では、余裕を持つというのはどういうことだろう?
経験がある方はご存じだろうが、1分しか残っていない場合は、あっという間に減圧停止指示が出る。
5
分でも、よほど気をつけていないと(水深が変わって深くなることもあるので)やはり減圧停止指示が出てしまうことがある。安全意識の高いガイドさんと潜ると、たいてい10分は残して浮上というか、浅瀬に移動してくれる。
自分でもしっかりダイブコンピュータを見て、同じように浅瀬に移動する習慣をつけておくべきだ。
事故者は無減圧潜水時間に余裕をもったダイビングができていなかったように見えるので「技量の未熟」を挙げさせてもらった。

この事故の場合、ダイビングサービスの潜水計画自体にも疑問が残るのだが、フォト派によくあるのが、1本目、2本目と粘って撮れなかった場合、3本目もリクエストする傾向もある。ゲストに強くリクエストされれば断り切れないという事情もあったのかもしれない。けれど、結局ゲストは減圧症にかかってしまったわけだから、ダイビングサービス側は安全第一とリクエストを突っぱねてもいいはずだ。

幸い、事故者は治療がうまくいって、後遺症が残ることもなかったようだが、人によっては後遺症に悩まされる場合もある。くれぐれも無茶をせず、無減圧潜水時間に余裕をもったダイビングをしていただきたい。

それにしても、奥さんは生きた心地がしなかっただろう。家族の人やバディに迷惑をかけないためにも、安全第一のダイビングを。

関連連載:
CASE23 水深40mを潜り、減圧症の疑い
CASE33 撮影に夢中になりエア切れ

ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??

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ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
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