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STOP! 潜水事故
CASE109 突然レギュレーターを外してパニックに
ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。 そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。
CASE109 突然レギュレーターを外してパニックに
今回の潜水事故の原因
- バディ不遵守
- 身体拘束
- 監視不十分
- 器具の不備・取り扱い不注意
- 体調の不注意
- 技量の未熟
- 気象・海象の不注意
- エア確認不注意
- その他
【事例】
ダイビングを始めて1年未満、経験本数も10本以下の40代男性が、ボートダイビングで出かけた。
インストラクター、友人、事故者の順でエントリーを開始し、船の前にあるアンカーロープに行き、そこから潜降をする予定だったのだが、潮流の影響でボートの後方に流されたため、船に戻ることに。インストラクターが「レギュレーターだけ離さなければ大丈夫だから」と二人のダイバーに助言して戻り始めたが、事故者がなかなか前に進まなかったため手を引いて泳いでいたところ、突然事故者がレギュレーターを口から外して溺れるようなしぐさで手足をばたばたし出しだ。
すぐに船に引き揚げたが、すでに意識がなかったことから、船長が119番通報。港に戻ってすぐにやってきた救急車に引き継ぎ、病院に搬送されるも死亡が確認された。
直接の原因パニック 溺れ
対処法
ダイビングの事故の多くが水面で起こっているとよくいわれるが、この事故もその最たるものといえる。亡くなった事故者のご冥福をお祈り申し上げます。
この事故はいくつかの不運とトラブルから起きている。
1 エントリーしてみたら潮が逆だった
2 流された
3 潮に逆らって泳がなければならなかった
4 アゲンストで泳げなかった
といったところだろうか。
1は、ファンダイブではわりと起こり得ることなので、それに応じてダイビングボートにはボートの横(弦)のところにラインといって細めのロープを船の舳先に向かって、または船尾に向かって渡しておくことが普通ですが、この事故の状況を察するとそのラインがなかったのではないか。もしも潮が逆でもエントリーしてすぐラインにつかまれば、ラインを伝って目的の船の前のアンカーロープまで行けたはず。
これは業者側にも問題がある。
この事故自体、少し古いものなので、現在のダイビングボートはこうしたライン対策は、私が乗船している船はすべてなされているけれど、ダイバーとしても船に乗る前に外観を見ておいてちゃんとラインが設置されているかどうかも見るぐらいの心持ちでいたい。
2は、ラインがなかった、またはラインはあったのに使用しなかったために流されたということで……。
3は、インストラクターやベテランのダイバーであれば流れに逆らって泳ぐこと自体、大変ではないことかもしれないけれど、ダイビング慣れ、海慣れしていない初心者にはかなりキツイかもしれない。泳力、キック力のある方にも問題はないのかもしれないけれど、筆者もアゲンストの水面を泳ぐのはこれだけ潜っていても大嫌いだし、とても疲れるのでやりたくない。それはともかく、事故者にはつらかったに違いない。
また、インストラクターは「レギュレーターを離さなければ大丈夫」と語っているけれど、浮力確保は最適だったのだろうか。流れがあるときは浮力があり過ぎると流されやすくなってしまうのだが、溺れないようにするためには浮力も必要。
何よりも船に戻るという判断は正しかったのか? 船に戻るのであれば、船長や(もしいれば)クルーがライン(ロープ)を投げて、それにつかまらせれば良かったのでは? この点も疑問を感じてしまう。
事故者は苦しくてもレギュレーターを外してはいけなかったのだが、ラインや浮き輪を投げておいてくれれば心の余裕もできたのではないかと思うと悔やまれる。
4 海というところはこのように想定外の出来事が起こり得る場所なので、それを想定してアゲンストでも泳げるスキルをダイバーとしては身につけておく必要はある。
ということで、この事故はインストラクターや船の業者サイドの反省、猛省も必要なものだと思うけれど、ダイバーとしては楽しむはずの海で死んではならない。だから、万が一のトラブルにも対処できるスキルを身につけて、何が起きてもレギュレーターを外さずに冷静に対処できる、パニックにならないスキルも身につけておく必要がある。
これからの時期は日本近海の海は大半がベストシーズンに入るし、海外ダイビングの機会も増えてくると思うので、くれぐれも安全第一で潜ってくださいね。
ダイビングは安全が一番。でも100%はあり得ません。
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ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
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バックナンバー
- CASE134 ダイビング事故の多くは水面で起きる
- CASE133 ダイビング中、耳元で何かが炸裂!
- CASE132 ボートダイビングでラダーに指を挟み大けが
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- CASE130 他のダイバーと接触しレギュが外れてパニックに
- CASE129 水深40m超でパニック
- CASE128 振り向いたらバディがレギュを外して暴れていた
- CASE127 インフレーターが外れてパニックに
- CASE126 バディを見失いパニックに
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- CASE122 残圧確認がいい加減でエア切れ
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- CASE111 ブイのロープに急変! そのとき
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- CASE109 突然レギュレーターを外してパニックに
- CASE108 60代男性ダイバーがダイビング中に体調不良に
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- CASE106 大物出現!で猛ダッシュするも取り残されてパニックに
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- CASE103 ディープ潜水で減圧症に
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- CASE101 フィンを履く時に転倒して溺水
- CASE100 エア切れで定置網に絡まる
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- CASE 97 繁忙期のダイビングでパニック
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- CASE51 大量のエアを吐き体調不良に
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- CASE49 リーフカレントで戻れず漂流
- CASE48 ウエイトを1kg外したら…
- CASE47 フィンが外れて焦ったあまり…
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- CASE45 ダイビング中、差し歯が抜けた!
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- CASE43 うねりで顔面強打
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- CASE39 咳き込んで海水を飲み、パニックに
- CASE38 ダイビング中、低体温症に
- CASE37 カメラが岩に挟まってエア切れに
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