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STOP! 潜水事故
CASE14 初めてのダイビングでパニック
ダイビングに限らず事故はつきものではあるが、最初から最後まで何事もなく安全に楽しめてこそ、本当のレジャー。 ダイビングの場合、潜水事故というと死に至るケースも少なくない。
そして多くの人が「他人事」と思っているフシもあるけれど、ふとした気の緩みやちょっとしたケアレスミスで潜水事故が起こることも。 明日はわが身。 もう一度基本を振り返る意味でも、ぜひこの連載を参考にしていただきたい。
CASE14 初めてのダイビングでパニック
今回の潜水事故の原因
- バディ不遵守
- 身体拘束
- 監視不十分
- 器具の不備・取り扱い不注意
- 体調の不注意
- 技量の未熟
- 気象・海象の不注意
- エア確認不注意
- その他
インストラクター1名が引率するビーチダイビングに5名が参加。3人(Aさん、Bさん、Cさん)と2人(Dさん、Eさん)の2組のバディを組みビーチダイブを開始した。インストラクターを先頭ににDさんとEさん、その後ろにAさん、Bさん、Cさんが続いた。
岸から約30m離れたところで潜降を開始するとAさんが水深10m付近で耳ぬきができないとインストラクターにサインを送った。インストラクターは全員を停止させ、Aさんの目の前で耳ぬきを確認するが、上手くいかないのでBさんを呼び、2人で浮上させた。残るCさん、Dさん、Eさんの3人を連れてインストラクターはダイビングを続行。
一方、水面に浮上するときにAさんがドタバタし始め、慌てたBさんが腕をつかんで落ち着かせようとしたが、AさんはBさんを振りほどいて急浮上。水面に上がった後、Aさんが「苦しい」とうめいてレギュレーターを外した。BさんはAさんを引っ張って岸に連れていこうとしたが、さらにバタバタとしだしたので、怖くなったBさんは助けを呼ぼうと、岸に向かって急いで泳いでいった。
が、振り返るとそこにはもうAさんはおらず、救助の人と付近を探すと、海底10m付近でレギュレーターを外して横たわっているAさんを発見。急いで引き揚げ、CPRを施しながら病院へ搬送するも、死亡が確認された。
Aさんは3年前にCカードを取得したものの、ファンダイブはこの日が初めてだった。
直接の原因監視不十分 技量の未熟
対処法
これまで13回、事例を挙げてきたが、よく見るとパニックで事故を起こしている例が多いことに気づいた。何か強いストレスを与えられたときに、それに耐えきれずパニックを起こしてしまう人がとても多いことの表れなのだろうか。いや、生き延びている人も多いことを考えるとパニックを起こす人が多いのではないのかもしれない。パニックを起こさないように気持ちを制御できる人が助かるという証明なのだろう。
ちなみにパニックを起こすと死亡に至るケースも少なくないので、レジャーダイビングとはいえ、セルフコントロールができるよう、メンタルトレーニングをしておく必要はある。
さて、この事例を見ていくと、インストラクターが耳ぬきのできないAさんとその日初めて会ったであろ うBさんを「2人で」浮上させ、インストラクター自身は問題のない3人とダイビングを続行している。建前でいえば、このインストラクターは安全な人に合わせるのではなく、問題のあるAさんに合わせて全員で一緒に浮上するべきだった。
が、現実にはそれでは問題のないダイバーにとっては不満しか残らずクレームの対象になるばかりでなく、二度と来てもらえなくなる可能性も出てくる。インストラクターはダイビングを続行しなくてはという強迫観念にとらわれたかもしれない。
ただ、AさんはCカードを取った後、3年のブランクがあり、ファンダイブも1本目。何かが起きてもおかしくはない因子を持っていたことは確かだ
インストラクター側はAさんをグループに入れるのではなく、マンツーマンのリフレッシュダイビングを勧めただろうか? Aさんがちゃんと浮上して陸に戻れると本気で思ったのだろうか?
Aさんには本当に気の毒だが、Aさんもブランクダイバーだという自覚を持って、まずはグループで潜るのではなく、リフレッシュコースを受けるべきだった。現在は各ダイビングショップやダイビングサービスで、こうしたブランクダイバー向けのリフレッシュコースを設けているし、コースではなくてもマンツーマン、もしくはガイド1人に2人までのダイバーといったごく少人数でのファンダイブを実施している。ブランクが心配な方はぜひ受けてみるといい。たいてい1ダイブ、もしくは1日2ダイブで講習のときのことが思い出せるはずだ。
Aさんはもしリフレッシュコースを受けないで、このようなグループでのダイビングをせざるを得なかったならば、パニックにならない術=セルフコントロールを身に着けておくべきだった。前述したように、これはダイビングのスキルというよりは気持ちの問題なので、ダイバーの皆さんが身に着けておくべきテクニックだと思う。
さて、Cカード講習を受けたからといっても、実際のダイビングですべてが上手くいくのはごく希。たまに問題なく潜れる人もいるけれど、多くの人が耳ぬきができない、潜降ができない、中性浮力がとれない……といったトラブルを抱えることになる。自動車免許と同じで、免許を取ったからといって、一般道路や高速道路をスイスイ運転できるようになるには時間がかかる。車線変更も最初はオドオドだし、駐車だって難しい。ダイビングも同じで、ダイビングを経験することによってスキルは身についていくものなのだ。講習を受けたからハイOK!とはならないと思っていたほうがいい。
これからダイビングを始める方が増える時期。ぜひ基本的なスキルを身につけること。そしてブランクダイバーにならないようにコンスタントに潜りに行くようにしよう。
あともう一つ、提案です。
インストラクターが1人で何人か連れて行くというグループダイビングは普通のことなのだが、ダイビング業者側は安全対策であと1人、アシスタントでもいいのでスタッフを連れていくことを常態化させてはどうか。世知辛い世の中、経済的、人員的に無理!と声を上げて反対される方もいるだろうが、中にはそういうサービスもあるので、できなくはないのでは?
ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
ダイビングは安全に潜ってこそ楽しい!
でも、万が一のとき、あなたはどうしますか??
ダイビング初心者の方は、ダイビングは怖いものと思っている方も多いと思います。実際は、基本手順やルールを守って潜れば、それほど怖がることはないレジャースポーツです。
また、ダイビングは海という大自然と向き合います。
だからこそ、「水中で体験した感動は忘れられない!」、「人生を変えるほどダイビングは素晴らしい!」と感じるダイバーが多いのも事実です。
しかし、自然が相手のスクーバダイビングですから、100%安全なんてことはありません。万が一のときあなたはどうしますか?
そんな時、DAN JAPANがあなたをサポートします。
DAN JAPAN
一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
TEL:045-228-3066
FAX:045-228-3063
Email: info@danjapan.gr.jp
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バックナンバー
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